ARCHITECTURE
建築家・吉阪隆正の個展を、遺産住宅を継承することになった鈴木京香さんと巡りました。
May 4, 2022 | Architecture, Design | casabrutus.com | photo_Kenshu Shintsubo text_Mari Matsubara editor_Keiko Kusano hair&make-up_Yukie Shigemi cooperation_Akihiro Furuya
もともと建築やインテリアデザインを見ることが大好きな鈴木京香さん。ひょんなことからご縁がつながった建築家・吉阪隆正の大規模展覧会を見学しに行きました。
ル・コルビュジエの元で働いた日本人建築家で〈国立西洋美術館〉の建設にも関わった3人といえば、勤務年代順に前川國男と坂倉準三、そして吉阪隆正だ。前者2人の知名度に対し、多分野にわたる旺盛な活動、そしてカテゴライズしにくい設計スタイルゆえに、業績の全般を網羅し紹介する機会にあまり恵まれなかった吉阪の思想と仕事を総覧する展覧会『吉阪隆正展 ひげから地球へ、パノラみる』が現在、〈東京都現代美術館〉で開催されている。
鈴木京香さんは近年、吉阪隆正が1957年に設計した住宅《Villa Coucou(ヴィラ・クゥクゥ)》を継承したことが縁で、この展覧会に足を運んだ。
「解体の可能性さえあった《ヴィラ・クゥクゥ》をご縁あって引き取らせていただき、竣工当時の姿にできるだけ戻すよう、修復工事を進めている最中です。そんな矢先に、吉阪という建築家について理解を深める絶好の展覧会が開かれるとあって、自分の勉強のためもあり、楽しみに駆けつけました」と京香さん。
第1章では吉阪の誕生から晩年に至るまでの詳しい年表や写真、豊富な資料が展示され、吉阪の人間性を伝えている。幼少期に父親の赴任で数年間をスイスで生活し、イギリス留学も経て国際感覚を身につけ語学が堪能だったことや、チェ・ゲバラとカストロと会うために髭を伸ばしたことなど細かいエピソードが書かれ、興味を引く導入部になっている。
第2章の展示室では、1950年から2年間のル・コルビュジエ事務所での勤務を終えて帰国し、真っ先に設計した新宿区百人町の《吉阪自邸》の原寸大断面図が壁いっぱいに貼られている。1階から3階までの高さ7mはちょうど展示室の天井高と一致しているという。まるで吉阪邸の中に収まったような気分になれる展示だ。
鈴木京香さんは近年、吉阪隆正が1957年に設計した住宅《Villa Coucou(ヴィラ・クゥクゥ)》を継承したことが縁で、この展覧会に足を運んだ。
「解体の可能性さえあった《ヴィラ・クゥクゥ》をご縁あって引き取らせていただき、竣工当時の姿にできるだけ戻すよう、修復工事を進めている最中です。そんな矢先に、吉阪という建築家について理解を深める絶好の展覧会が開かれるとあって、自分の勉強のためもあり、楽しみに駆けつけました」と京香さん。
第1章では吉阪の誕生から晩年に至るまでの詳しい年表や写真、豊富な資料が展示され、吉阪の人間性を伝えている。幼少期に父親の赴任で数年間をスイスで生活し、イギリス留学も経て国際感覚を身につけ語学が堪能だったことや、チェ・ゲバラとカストロと会うために髭を伸ばしたことなど細かいエピソードが書かれ、興味を引く導入部になっている。
第2章の展示室では、1950年から2年間のル・コルビュジエ事務所での勤務を終えて帰国し、真っ先に設計した新宿区百人町の《吉阪自邸》の原寸大断面図が壁いっぱいに貼られている。1階から3階までの高さ7mはちょうど展示室の天井高と一致しているという。まるで吉阪邸の中に収まったような気分になれる展示だ。
吉阪が設立した設計事務所〈U研究室〉で使われていた製図台や《吉阪自邸》の模型も展示されている。コンクリート造の住宅がまだ非常に珍しかった時代、吉阪はコンクリートブロックに一部レンガを意匠的にあしらったピロティのある家を設計し、約2年をかけて完成させた。
ル・コルビュジエの事務所に勤務していた当時、吉阪はマルセイユの〈ユニテ・ダビタシオン〉の現場に関わっており、その後、設計を担当したナント、ルゼの〈ユニテ・ダビタシオン〉の設計では、「Taka」というサインの入った図面も展示されている。
ル・コルビュジエの事務所に勤務していた当時、吉阪はマルセイユの〈ユニテ・ダビタシオン〉の現場に関わっており、その後、設計を担当したナント、ルゼの〈ユニテ・ダビタシオン〉の設計では、「Taka」というサインの入った図面も展示されている。
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