DESIGN
ジャン・プルーヴェの木製椅子《シェーズ トゥ ボワ》が復刻。
| Design | casabrutus.com | text_Hisashi Ikai editor_Keiko Kusano
ジャン・プルーヴェが人生で唯一手がけた木製椅子《シェーズ トゥ ボワ》が、ヴィトラから復刻。今秋から日本での販売も本格的に開始する。
鉄鋼職人としてキャリアをスタートさせ、その後、薄鋼板を応用した革新的な建築作品を多数手がけるなど、ジャン・プルーヴェの人生はいつも金属と密接に関わっていた。しかし、そんなプルーヴェも、第二次世界大戦の影響を受け、十分に金属を使えなかった時代がある。
金属の不足は彼のアトリエにとって大きな打撃だったはず。しかしながら、ナチス・ドイツの占領軍に対抗するレジスタンス運動に参加するなど、反骨精神に満ちたプルーヴェは、独自のクリエイティブ感覚で新しい道を辿っていく。激化する戦火のなかで、プルーヴェの人生において最初で最後となるオール木材の椅子のデザインを試みた。それが1941年に誕生したこの《シェーズ トゥ ボワ》だ。
《シェーズ トゥ ボワ》とは、フランス語で「すべて木材でできた椅子」という意味。船舶の構造体や聖堂の大屋根にも使われていた、硬くて丈夫なオーク材を使用し、ビスを一本も使うことなく、木材だけで十分な強度を保持した。特徴的な細長い三角形の後脚や全体のプロポーションは、彼の代表作でもあるチェア《スタンダード》によく似ているが、前脚を横方向に固定する貫の中央から座面へと垂直に伸びる部材は《シェーズ トゥ ボワ》固有のシェイプで、正面からは神社の鳥居のような形に見える。
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