ART
抽象画家・白髪一雄、その全容に迫る。
January 10, 2020 | Art | casabrutus.com | text_Aya Hasegawa
足を絵筆代わりにする独特の手法で、戦後日本の前衛芸術を牽引し、また、近年世界的な評価が高まっている白髪一雄の、東京では初となる大規模個展が開催となる。
〈具体美術協会〉(1954-1972)の中心メンバーとして知られる、抽象画家・白髪一雄(1924-2008)の大規模個展が初めて東京で開催される。白髪は1955年頃より天井から吊したロープにぶら下がり、床に広げたキャンバスに足で滑走して描く「フット・ペインティング」の制作を開始。足を絵筆代わりにするという未知の領域を開拓し、身体運動(アクション/パフォーマンス)と絵画をダイレクトに結びつけるラディカルな手法で注目を集めた。
60年代頃には密教にも関心を深め、71年には比叡山延暦寺で得度し天台宗の僧侶となる。吉原治良の逝去を機に〈具体美術協会〉が解散する頃から、白髪の作品には密教的な妖しさ、濃密な精神性が漂いはじめ、やがて素足にかわってスキージ(長いヘラ)を用いた作品を制作するようになった。
Loading...