青森 ”人情グルメの旅” 八戸編|行くぜ、東北。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

青森 ”人情グルメの旅” 八戸編|行くぜ、東北。

昭和28年の開設から62年。今も地元の人々の暮らしに根付く陸奥湊(むつみなと)駅前朝市。新鮮な海産物やその加工品、惣菜を扱う店がずらり。買ったものを定食にして朝ごはんにできる食事処もあるんです!

〈八戸市営魚菜小売市場〉内の風景。朝早くは仲卸や小売業者が多い。最も混み合う時間は5時前後。
八戸の朝は早い。JR八戸線・陸奥湊駅前では夏でもまだ暗い午前3時前後から市が立つ。水揚げされたばかりの鮮魚に獲れたての野菜や果物、海産物加工品や惣菜を扱う店が〈八戸市営魚菜小売市場〉を中心に先の通りまで軒を連ねる。「今日はイガ(イカ)がいいよ~」「まげる(負ける)よ~」。店を切り盛りするお母さんたちの元気な声があちこちから聞こえる。60年以上変わらない、この町の朝の風景だ。
野菜や果物を売る店は、りんごの木箱を棚代わりに。夏場は野菜の苗を販売する店もある。
ウリはなんといっても八戸漁港をはじめとする近隣の港で揚がったばかりの新鮮な魚介。朝日を受けてきらきらと輝くイカは、水揚げ量もクオリティも日本屈指。夏はアワビやホヤ、秋からはサバにカレイ、冬はタラにアンコウ、ホッキ貝と年間を通じて新鮮で質の高い魚介に出会える。野菜や果物、卵を扱う店もあれば、水産加工品や惣菜も店先に並ぶ。「まんず食べてみて~」と差し出される新鮮な海の幸をつまみながら、1軒ずつ店を覗き歩けば、2~3時間があっという間に。
現在の〈八戸市営魚菜小売市場〉の建物。海からウミネコがやってくることも。買った魚を狙われないように。
終戦に伴う引揚者など生活困窮者を支援する目的で〈八戸市営魚菜小売市場〉が建てられたのが昭和28年。木造1階建て、バラック同然の建物ながら、陸奥湊駅からすぐという立地条件が味方して朝早くから行商人、買い物客で賑わった。最盛期の昭和40年代には、〈八戸市営魚菜小売市場〉の内外に350軒もの店がひしめき合ったという。市場の老朽化、飽和化を改善するため、鉄筋コンクリート2階建ての現在の建物に改築したのは昭和42年。以降、福祉的市場から消費生活市場へと役割を変え、地域の台所として発展してきた。
〈朝めし処 魚菜〉での朝食の一例。カレイの刺身にうに、きゅうりの漬物、たらこやいくらがテーブルいっぱいに。
全国に朝市はたくさんあるけれど、陸奥湊駅前朝市は、地域の人の日常が垣間見られるローカル感がありつつ、オープンな雰囲気が魅力だ。訪れるのは仲卸や小売業者、地元の年配者が中心だけれど、誰もが観光客にも気さくに声をかけてくれる。ウニやホヤなど東京では貴重な海の幸は、買ったそばから口に運べる。炭火で焼く焼き魚やお母さん特製の煮魚も店頭に。とっておきは、〈八戸市営魚菜小売市場〉の〈朝めし処 魚菜〉で食べる朝ごはん。朝市で買った品物を持ち込め、炊き立てのご飯、味噌汁を注文し、自分好みの定食にして食べられる。一仕事終え、まかないを食べる人々と一緒に“市場のカフェテリア”で贅沢で温かな朝食を。
有機栽培のコーヒーを扱うコーヒーショップ。ドリップコーヒー200円~。パンなど軽食も販売している。
平成に入り、漁業の低迷や後継者不足、生活様式の変化で、最盛期の頃のように賑わうことはなくなった今でも、100軒前後の店が並ぶ〈陸奥湊駅前朝市〉。昭和の面影を色濃く残した“人情朝市”は、全国から訪れる観光客を惹きつけてやまない。ハンドドリップで淹れるコーヒーのスタンドが“集会所”代わりの役目を果たす風景もユニーク。とびきりの朝食のあとは、ぜひ地元の人たちに混じってコーヒーブレイクをゆっくり楽しもう。それでもまだ1日は始まったばかり。早起きは三文の徳。八戸の朝ならばなおのことだ。

〈陸奥湊駅前朝市〉

青森県八戸市大字湊町字久保(JR八戸線陸奥湊駅周辺)
TEL 0178 33 7242(八戸市営魚菜小売市場)。3時~12時。日曜・第2土曜・年始休。

アクセス

東京駅から東北新幹線で八戸駅まで約2時間50分。JR八戸線陸奥湊駅前より徒歩0分。
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