あの〈noma〉のDNAを受け継ぐレストランが東京に!|寺尾妙子のNEWSなレストラン | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

あの〈noma〉のDNAを受け継ぐレストランが東京に!|寺尾妙子のNEWSなレストラン

コペンハーゲン〈noma〉レネ・レゼピ・シェフの右腕を務めたトーマス・フレベルが腕を振るう飯田橋〈INUA〉は2か月先まで予約が殺到!

料理はすべてコース29,000円より。こちらは題して「赤いフルーツ」。
ガストロノミーの世界に北欧旋風を巻き起こした伝説の店、コペンハーゲン〈noma〉の流れを組む〈INUA〉が今春、東京・飯田橋にオープンした。ディナータイムのみの営業でコースは29,000円の1コースのみ。ワインペアリング16,000円、消費税やサービス料を入れると約5万円という高額ながら、客席は毎晩1回転半、約100名のゲストが駆けつけており、予約は2か月先まで埋まっているという。

ちなみに〈noma〉は「世界のベストレストラン50」で4度も1位を獲得。樹木の枝や蟻などを食材として用いることも含め、従来のどのジャンルにもとらわれない料理スタイルで知られるが、〈INUA〉では〈noma〉レネ・レゼピの右腕として活躍したトーマス・フレベルがヘッドシェフを務め、レネのDNAを色濃く受け継ぎつつ、日本の風土を反映した料理を提供する。
口の上でスーッと溶ける冷たい豆乳ムースに、常緑針葉樹であるトウヒの葉をまぶし、松ぼっくりの砂糖漬を添えた「トウヒとさるなし〜豆乳、トウヒとさるなし〜」。
口の上でスーッと溶ける冷たい豆乳ムースに、常緑針葉樹であるトウヒの葉をまぶし、松ぼっくりの砂糖漬を添えた「トウヒとさるなし〜豆乳、トウヒとさるなし〜」。
トーマスは2015年に〈noma〉の全スタッフが来日して開催した〈ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京〉でのイベントのため、数年間かけて日本各地で素材を探した。生産者を訪ねるだけでは飽き足らず、山や森に入り、黒文字や山椒など樹木の枝や土地ごとの蟻をテイスティングし、選び抜いたものを食材として使い、レネとともに日本の風土や環境に対するメッセージ性の強いコースに仕上げた。

「あのときに体験した日本のカルチャーや風景、そして食材に魅了されてしまったんです。それにやり残したことがたくさんあったから、どうしても東京でレストランをやりたくて。〈KADOKAWA〉とパートナーシップを結んだレネの協力も得て、〈INUA〉のヘッドシェフに就任したんです」(トーマス)
主役はあくまで海藻。「海藻とウニ 海藻のピクルスとウニ」。毎日とっている昆布と鰹の出汁、山椒の出汁を使用。
北欧テイストの店内に日本の工芸作家による器や作品を配した店内はメインダイニングに個室が1室、待ち合わせやデザートタイムに利用できるラウンジがあり、広々としている。そんななか、提供される29,000円のコースは驚きの連続。

豆乳ムースには、松ぼっくり添え! もちろん、ただの松ぼっくりではなく、産地も質も選び抜かれたものだ。恐る恐る口に運べば、長野の森から届いたまだ若く、やわらかな松ぼっくりの砂糖漬けはライチに似たクニュッとした食感で、青々とした風味。ムース一面にまぶした常緑針葉樹であるトウヒの葉もスーッと清涼感がある。夢のようにはかなく溶けるムースといい、さすが、世界の最先端! 約10種の海藻が主役というひと皿といい、日本の山海の豊かさに改めて気づかされるような、料理が続く。私たち、実は日本の食材について何も知らなかったんじゃない?
エルダーフラワーを散らした「赤いフルーツ 赤いフルーツと蜜蝋のジュース」。スイカ、ドライトマト、トロピカルフルーツ、パプリカ。黒い昆布のクチュクチュした食感がおもしろい。
ピンセットやスポイドを使った丁寧な盛り付けに目を奪われる。昆布出汁、山椒出汁、野菜出汁、イカ出汁など、何種類もの出汁が奏でる多彩な味わいに脳が刺激される。前菜からデザートまで、13品前後。めくるめく〈INUA〉ワールドが展開されるなかで、魚や肉が主役の料理はゼロ!