新生マルニが思い描く、「理想の家」とは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

新生マルニが思い描く、「理想の家」とは?

『カーサ ブルータス』2018年7月号より

ユニークなショー演出でも話題を集める新生マルニ。フランチェスコ・リッソが目指すブランドの未来を聞いた。

東京のショールームで、ショー会場にも並べたオブジェの上に座るフランチェスコ。
マルニのクリエイティブ・ディレクターに就任し2年目となるフランチェスコ・リッソ。様々な要素をミックスさせたポップなコレクションで存在感を高める彼が3月、東京にやってきた。

Q 秋冬コレクションはショー会場の演出もユニークでしたね。
メンズのショーでは、会場内に石を敷き詰め、観客には積み重ねた本やポリタンク、ぬいぐるみなど様々なオブジェの上に座ってもらいました。オブジェはサークル状に置き、キャンプファイアーのような状況を作っています。知らない者同士が隣に座り、自然と会話が生まれコネクションが作られてゆく空間を作りたかったのです。コレクションのテーマにも通じるのですが、デヴィッド・ボウイがいろいろな言葉を集めコラージュして歌を作るように、いろいろな背景の人々の日記をまとめて一つの日記を作るイメージですね。
4月のミラノサローネでのプレゼンテーションの様子。
Q マルニというブランドとその未来をどのように考えますか?
関わる前は、ミステリーボックスのようなブランドに思えました。きれいな箱で外からは中身が見えないけれど、とても気になる。箱を開けると中にはまた違う箱が入っていて、それが続いていく……。マルニのアイデンティティはステレオタイプの逆で、常識の外にあります。考え方、心が自由なのです。異なるもの同士を組み合わせた折衷主義的なところもありますね。メンズ、ウィメンズ、キッズ、家具と種類も増えて、まるでマルニの家に住んでいるような完璧な状況が作られつつあります。マルニを好きな方々は体験を求めていますから、どんどん共有できる体験を作り出していきたい。

Q マルニの家とはどのようなイメージでしょう?
複数の側面を持っている家です。洗練された家具や様々なところから集めたオブジェが置いてある。クリエイティビティを感じられ、温かい気持ちになれる空間です。

Q 2回目の参加となるミラノサローネのテーマは?
コロンビアのヴェレダという田舎にあるコミュニティをテーマにしました。家の外に置いてあって、みんなが使えるような家具を発表します。
18年秋冬メンズコレクションのショー会場。
初参加となった昨年のミラノサローネ。テーマは「プレイランド」。
18年秋冬メンズコレクションのショー会場。
初参加となった昨年のミラノサローネ。テーマは「プレイランド」。
Q どういったものからインスピレーションを得ますか?
写真を収集するのが好きです。建築、椅子、景色、女性や男性の写真。見てイメージが湧くものを集めています。家の中で拡げるので床が埋め尽くされ歩く場所もないぐらい。写真を並べるとコネクションが浮かび、インスピレーションソースとなります。

Q 好きな建築家やデザイナーは?
たくさんいます! チャールズ&レイ・イームズは1940年代にデザイン性と実用性を兼ね備えたものをデザインしたところに興味があります。ヴァーナー・パントンは、美意識が好きですね。そしてマルティーノ・ガンパー。とてもラディカルで、過去の名作家具を分解し、新しい視点やバランスで全く異なるものを作り出します。家にもいくつかありますよ。

フランチェスコ・リッソ

NYのFITやロンドンのセントラル・セント・マーチンズで学んだ後、プラダなどのイタリアブランドで経験を積む。2016年、マルニのクリエイティブ・ディレクターに就任。