パリ、マルタン・マルジェラをめぐる2つの展覧会。|石田潤の In the mode | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

パリ、マルタン・マルジェラをめぐる2つの展覧会。|石田潤の In the mode

パリでマルタン・マルジェラに関する2つの展覧会が開催中だ。ファッションの表舞台から姿を消して9年。しかし今、ファッションは、「マルタン・マルジェラの時代」にある。

『マルジェラ、エルメス時代』が開催中の〈パリ装飾芸術美術館〉エントランス。こちらはオレンジ&ホワイトカーペット。会場入り口にもエルメスのオレンジボックスとメゾン マルタン マルジェラのホワイトボックスが積み重なっている。
ここ数年のファッション界に最も影響を与えているデザイナーといえば、まず思い浮かぶのはマルタン・マルジェラだろう。マルタン自身は、2009年以降、ファッションの表舞台から姿を消したが、 “マルタン・チルドレン”とも言えるデザイナーたちの活躍が目につく。

筆頭に挙げられるのは、モードの世界にストリートの風を持ち込んだヴェトモンのデムナ・ヴァザリアだ。実際、彼はマルタンが去る直前にメゾン マルタン マルジェラ(以下、MMM)に入社したという過去を持つ。また現代的な女性像で、女性たちの圧倒的な支持を受けたフィービー・ファイロ(今年1月にセリーヌを退任)は、マルタン・マルジェラ、そしてマルタンの手がけたエルメスをコレクションしていたことで知られる。そして現在のエルメスのウィメンズプレタポルテ、アーティスティックディレクターを務めるナデージュ・ヴァンヘ=シビュルスキーは、2005年から2008年にかけてMMMで働いた。

大なり小なりマルタンの影響を受けたデザイナーをあげればきりがないが、それを裏付けるかのように今、パリで開催中のマルタン・マルジェラをめぐる2つの展覧会はファッション好きの若者であふれている。〈ガリエラ美術館〉の『マルジェラ/ガリエラ−1989-2009』と〈パリ装飾芸術美術館〉の『マルジェラ、エルメス時代』、4月のパリでこの2つの展覧会を訪れた。
『マルジェラ/ガリエラ−1989-2009』が開催されている〈ガリエラ美術館〉には、ホワイト・カーペットが出現。
『マルジェラ/ガリエラ−1989-2009』は、マルタンがMMMに在籍した1989年春夏から2009年春夏までのコレクションを時系列的に見せる展覧会だ。本人が展示のアーティスティック・ディレクションを務めているだけあって、あちこちに“らしさ”が光る。

まず会場となるガリエラ宮を訪れると、出迎えてくれるのはレッド・カーペットならぬホワイト・カーペット。マルタン・マルジェラといえば、スタッフの白いユニフォーム(当時、展示会は“クリニック”と呼ばれていた)に始まり白のペンキや白い布で覆った家具など、“白”が象徴的な色であったが、会場内にも白いハンガーにトルソー、そして椅子とあちこちに白の什器が置かれている。
展示会場に置かれた椅子ももちろん白一色。