イッセイ ミヤケの新店が京都の町家にオープン。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

イッセイ ミヤケの新店が京都の町家にオープン。

京都にある築132年の町家が、イッセイ ミヤケの店舗に。空間デザインは深澤直人。蔵を利用したギャラリー付きの、交流と発信の場が生まれました。

柳馬場通沿いに位置する町家を改修。墨色を基調としたシックな佇まいの向こうに、色鮮やかな服が見える。
服を引き立てる、墨色の空間。

京都市中心部にイッセイ ミヤケの新店舗〈ISSEY MIYAKE KYOTO〉が登場した。場所は築132年の町家。昔ながらの町家が数多く残る柳馬場通沿いでも、間口が広く、ひときわ風格を感じさせる建物だ。

漆喰の壁や土間、塀や砂利など、建物の内外にあるほとんどの要素は落ち着いた墨色で彩られている。空間デザインは、プロダクトデザイナーの深澤直人。イッセイ ミヤケが展開するブランドの路面店で深澤の空間デザインによるものは、南青山、代官山、銀座につづいて4店舗目だ。

「改装するのではなく、復元したのだ。特別な事はしていない」と深澤は語る。深澤は空間のデザインにおいて、既存の町家のよさを生かし、建てられた当時のディテールを想像しながら空間を整えたという。柱や梁の軸組や、一部が吹き抜けとなっている構成も既存のつくりを生かしたものだ。
母屋1階。墨色の空間に服やバッグ、小物が映える。落ち着いた空間だが、奥の庭まで視線が抜けるので開放感もある。
母屋2階。町家の小屋組が間近に迫り、構造美が味わえる。2階の商品は柔軟に入れ替えていくという。
母屋1階。墨色の空間に服やバッグ、小物が映える。落ち着いた空間だが、奥の庭まで視線が抜けるので開放感もある。
母屋2階。町家の小屋組が間近に迫り、構造美が味わえる。2階の商品は柔軟に入れ替えていくという。
メンズブランド《HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE》《ISSEY MIYAKE MEN》とバッグや小物の《BAO BAO ISSEY MIYAKE》の3ブランドを中心とした品揃え。墨色の空間が、商品の色や形を引き立てている。

母屋の奥には、「KURA(蔵)ギャラリー」がある。既存の蔵の2階の床を取り払い、天井の高いギャラリーとした。様々な文化・伝統技術やイッセイ ミヤケの服への取り組みなどを、展示を通じて発信していくという。
KURA(蔵)ギャラリー。オープンに際し、グラフィックデザイナー田中一光の作品をモチーフとした3シリーズ目となる “IKKO TANAKA ISSEY MIYAKE” を特別展示している。
母屋とKURA(蔵)ギャラリーという2つの建物からなるスペースは、ただ商品を見せるだけではなく、「ものを通じたコミュニケーションの場」という役割も担う。

なぜ京町家に、イッセイ ミヤケが?

ところでイッセイ ミヤケと京都の町家という組み合わせ、意外に感じる人も多いかもしれない。常に新しい試みを世に打ち出して来たイッセイ ミヤケが伝統的な町家に出店することがまず意外。そして〈ISSEY MIYAKE KYOTO〉のある柳馬場通の周辺にアパレルの店舗はそれほど多くなく、ハイブランドが出店する立地としては変化球だ。別棟にギャラリーが付くという構成も独特だ。
京都の町中では貴重な広い庭。KURA(蔵)ギャラリーの漆喰、塀はそれぞれ微妙に色合いが異なる墨色で仕上げ、庭の玉砂利は濡れ加工を施している。
この複合的で挑戦的な場が誕生した背景には、長らくイッセイ ミヤケの商品の染め、織り、プリント、縫製といったさまざまな生産プロセスを、京都の職人技術が支えてきたという背景がある。いま改めて京町家に店舗を構えることには、商品を販売するのみならず、京都を中心とした地域の職人技術との協業をさらに深め、訪れる多様な人々との出会いやコミュニケーションを生み出し、新たなものづくりへと発展させる意図があるという。

そして今回、京町家の伝統的な構造と京都の職人技術が、深澤直人の空間デザインと交わることで、服を引き立て、訪れる人にインスピレーションを与える空間が誕生した。「京都は新しいものも受け入れる許容量がある。イッセイ ミヤケの革新的なものづくりの精神と融合する、特別な場所になればと考えている」と深澤はいう。

思い描く場所にふさわしい立地や規模、空間的な魅力を併せ持つ町家を探すところから、空間デザイン、リノベーションと、数年がかりで実現された力のこもったプロジェクト。ここでの発信と交流を通じて生まれる新たな創造も楽しみな、特別な場所が誕生した。

〈ISSEY MIYAKE KYOTO〉

京都府京都市中京区柳馬場通三条下ル槌屋89
TEL 075 254 7540。11時〜20時。