ヨーガン レールさんが私たちに教えてくれたこと。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ヨーガン レールさんが私たちに教えてくれたこと。

デザイナーのヨーガン レールさんは、必要不必要をはっきりさせ、無駄なく素敵に暮らす術をブランドの中で表してきた。そんなヨーガンさんが逝去した。その活動を振り返った。

愛犬の「すみ」は東京のオフィスでも石垣でもいつも一緒。ヨーガンさんの大切な家族だった。食事はヨーガンさんが調理した。石垣の自宅にて。
ファッションブランド〈ヨーガン レール〉〈ババグーリ〉のデザイナー、ヨーガン レールさんが、9月に自宅のある石垣島で急逝した。

私たちのライフスタイルはヨーガンさんの活動に感化されているといってもいいだろう。

店内に服、家具、器も一緒にディスプレーした、ライフスタイルショップといわれる店づくりをいち早く実現した。そして社員食堂。無農薬の野菜中心のお昼を提供し、人もうらやむ環境を実現して社員食堂ブームの先駆けとなった。また、チークの一刀彫の椅子作りは「作った椅子が捨てられることなく、未来のアンティークになる狙い」で情熱を注いだ。

「レールさん」と地元の人に呼ばれていた石垣島での生活。木をなるべく切らずに作られた〈ヨーガン レール農園〉では、社員食堂で食べるお米やショップで販売するハーブティーを収穫した。海に行けば何時間も浜辺で漂流物のかけらを集めた。口癖は「一見きれいに見えるビーチの底には想像を超えたはるかな量のプラスチックが埋まっています。土に混ざっても、自然に還らないで残る。こんなものは地球上にいりません」。近ごろでは近隣諸国から漂流したペットボトルなどを拾い集め、漂流物を訴える次のプロジェクトに邁進する日々だった。「声高には言いません」と環境、食の安全を独特の表現方法で訴えた。ちょっとアイロニックで、整頓が上手で、動物たちに愛情深いヨーガンさん。今後も静かで強いメッセージは引き継がれていくだろう。

食堂ブームのきっかけを作る。

ベストセラーになった本『ヨーガン レールの社員食堂』(PHP研究所)からしか、実態はうかがえないが、お米や野菜の一部は石垣島の畑で作られたもの。

未来のアンティーク作り。

稀少な木材のチーク材で椅子を作った。何代にもわたって使い続けられて、アンティークになることを願った。環境への心配りを忘れないヨーガンさんならでは。

環境について提言する。

「プラスチックは自然に還元しません」と環境破壊される海の現状をどうにか世に訴えたいと考え続けた。同時に海で自然に美しく形が整えられた石やサンゴも収集した。

日本の未来を考える。

「NO MORE 福島」を訴えたスカーフ。広げると「反原子力」のメッセージが。綿プリント25,000円(ババグーリ TEL 03 3820 8825)。

ヨーガン レール

1944年ポーランドに生まれる。パリでテキスタイルデザイナーとして活躍後、71年に来日。72年に〈ヨーガン レール〉を立ち上げた。以来、ファッションだけでなく、食品、道具なども展開した。公式サイト