DESIGN
古今東西 かしゆか商店【だるま】
『カーサ ブルータス』2019年2月号より
February 8, 2019 | Design, Travel | KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts | photo_Keisuke Fukamizu editor_Masae Wako hair & make-up_Masako Osuga
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。2年目となる2019年のスタートは、群馬県の高崎市へ。招福と厄除けの縁起物、高崎だるまのつくり手を訪ねた。
一年の始まりを飾る買い付けは何にしよう。やっぱり幸せを招く手仕事の現場を見たいな……。そう考えて訪ねたのが、“高崎だるま”の工房です。群馬県高崎の豊岡地区で江戸末期に始まった高崎だるまは、真っ赤な色とゴロンと丸いフォルムが特徴。縁起だるまとも福だるまとも呼ばれています。
「願いごとをしながら左目に墨を入れて飾り、願いが叶ったら右目も描きます」「一年ごとにひと回り大きなものに買い替えるのが基本です」と、お作法を教えてくださったのは〈だるまの幸喜〉の代表を務める旭剛正さん。工房の外には、真っ白なだるま生地が行儀よく整列しています。顔の表情はまだないけれど、じわじわと愛おしく思えてくる佇まい。
まずはその生地づくりを見学します。再生紙を溶かした液に鋳型を入れ、水分だけを吸い出して真空成形したら、天日で乾かすこと1週間。高崎だるまって紙でできていたんですね。ヒュッと持てるほど軽いことに驚きました。
まずはその生地づくりを見学します。再生紙を溶かした液に鋳型を入れ、水分だけを吸い出して真空成形したら、天日で乾かすこと1週間。高崎だるまって紙でできていたんですね。ヒュッと持てるほど軽いことに驚きました。
「もともと農閑期の副業として始まったもの。からっ風が吹く北関東の気候が、だるまづくりに向いていたんでしょう」と旭さん。
完全に乾いた後は、貝胡粉という白い貝の粉と膠でつくった液体で全体をコーティング。赤や朱で色をつけたら、いよいよハイライトの顔を描く工程です。墨汁をたっぷりつけた筆を持って、一気に流れるように手を動かします。下描きなし! 躊躇なし! 迷っていたら勢いのあるいい線は描けないのだとか。顔が入ったとたん、コロコロと幼い印象だっただるまに力強い存在感が生まれました。
完全に乾いた後は、貝胡粉という白い貝の粉と膠でつくった液体で全体をコーティング。赤や朱で色をつけたら、いよいよハイライトの顔を描く工程です。墨汁をたっぷりつけた筆を持って、一気に流れるように手を動かします。下描きなし! 躊躇なし! 迷っていたら勢いのあるいい線は描けないのだとか。顔が入ったとたん、コロコロと幼い印象だっただるまに力強い存在感が生まれました。
Loading...