実験的でイノベーティブなライフプロダクトショップ。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

実験的でイノベーティブなライフプロダクトショップ。

『カーサ ブルータス』2019年2月号より

これまでに見たことのないプロダクトを!松村光の挑戦的な店がオープンします。

〈52D.L.STORE〉店内に立つデザイナーの松村光。
三角形の連なりが自由な形を生み出すバッグ《バオ バオ イッセイ ミヤケ》など、イッセイ ミヤケ在籍時に独創的なアイデアと開発で数々のアイテムを担当してきたデザイナー、松村光。現在はさまざまなデザインプロダクトを手がける彼が、「ライフプロダクト」と名づけたアイテムを展開するショップを1月、青山にオープンさせる。
糸や針を使わずにパーツで組み立てるバッグ《ミスロボット》。
Q 販売商品はバッグとピンチのみというシンプルなものですが、なぜこの2つなのでしょうか。

私自身がデザインで目指すのはジャンルを超えることです。ここでは通常、あえて並ばない2つを並べてみたいと思いました。私はこれらを「ライフプロダクト」と呼んでいます。特殊な状況や特別な人が使うのではなく、人々が日常的に使うツールを作り、日常のシーンを作っていきたいんです。バッグがファッションを扱う店に置かれた時点で、ファッションアイテムという印象が強く根づいてしまいます。そうしたボーダーを超えたものにしたいというのが、店作りのきっかけです。
共通の部品を使いながら留め口部分などをバッグに合わせて変化させていく。
パーツをつなぐのは独自の金具。
共通の部品を使いながら留め口部分などをバッグに合わせて変化させていく。
パーツをつなぐのは独自の金具。
Q このバッグはどのようなものなのでしょうか。

バッグには、ミシンで縫製して作るものという固定概念があります。これを変え、まったく新しいもの作りを目指しました。このバッグは四角形のパーツを特殊な器具でつないでいます。家電のように部品を組み立てて生まれるバッグなんです。モジュール化しており、素材もポリ塩化ビニルのほか、今後はレザー、合皮、ナイロンなどを考えています。組み合わせ次第で色やプリントを用いることができそうですね。
新感覚のカプセルピンチ。 カプセルの自重とシリコンのグリップでモノを挟む《カプセルピンチ》。下から差し込んで留めると、斜め上方向に動かさない限りはしっかりと固定される。
マグネットやネジでも壁や扉に取り付け可能。
新感覚のカプセルピンチ。 カプセルの自重とシリコンのグリップでモノを挟む《カプセルピンチ》。下から差し込んで留めると、斜め上方向に動かさない限りはしっかりと固定される。
マグネットやネジでも壁や扉に取り付け可能。
Q ピンチとバッグに共通する部分はありますか?

バッグは物を片づけるという意味で収納なのではないか。そこから同じように簡単なアクションでものを置ける場所を作れないかと考えたのです。《カプセルピンチ》
は、壁を使い宙に置くというコンセプトです。フックの下部からものを差し込むと斜め上にずらさない限り、ものが動かない仕組みになっています。鍵やキーホルダーなどを想定し、すっと付け外しができるものにしました。

Q 今後はどのような展開を考えていますか?

今と同じく、ファッションアイテムと日用品の2軸で考えています。実験的なデザインであり、実験的なブランドであり、実験的なショップでありたく、今後も意外性のあるラインナップにしたいですね。世にすでにあるものをデザインする意味はありません。誰も見たことのないものを誰にでも届く形で作っていきたいんです。そして次の時代のスタンダードになるものを作りたい。この過程そのものが実験だと思います。見てもらい、反応を見て修正を加えていく。ショップを通じてユーザーとコミュニケーションを重ね、より良いアイテム、まだ見ぬアイテムを作っていきたいですね。

52 D.L.STORE

1月25日オープン。支払いはクレジットカードや電子マネーのみ。ガラスタイルの店内はデザイナーの関祐介によるもの。東京都港区南青山6-11-3神通ビル1F 12時〜20時。水曜休。

松村光

まつむらひかる 1964年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業後に渡仏し、パリ・オートクチュール組合学校で学ぶ。イッセイ ミヤケ在籍時にはバッグブランド《バオ バオ イッセイ ミヤケ》を担当。現在は自身のスタジオを設立し、プロジェクトに関わる。