DESIGN
古今東西 かしゆか商店 東京特別編【洋服ブラシ】
『カーサ ブルータス』2018年11月号より
November 8, 2018 | Design, Travel | KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts | photo_Keisuke Fukamizu hair & make_Masako Osuga editor_Masae Wako
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回のテーマは、東京特集号に合わせた“江戸の手仕事”。三百年続く日本橋の老舗で、手植えの洋服ブラシを見つけた。
「次号は“東京特集”です」。編集部からそんな話を聞いてパッと思いついたのは「東京で生まれる江戸の手仕事」。江戸切子や鋏などの伝統工芸も気になったのですが、今回は日本橋でブラシと刷毛をつくっている〈江戸屋〉を訪ねることにしました。“手植え”のブラシがあることと、300年間ずっと同じ場所で店を構えているという話に惹かれてしまったんです。
趣ある店内には洋服ブラシや掃除用ブラシ、歌舞伎の化粧刷毛までずらり。3000種もあるそうです。「店の前の道は、徳川家康が幕府を開いて最初につくった通り。ここから“江戸”が広がったんですよ」と、12代目店主の濱田捷利さん。すごい。きっと賑やかだったんだろうな、当時の町を見てみたいな……と思いながら、洋服ブラシづくりを見学しました。
「天然の豚毛を使い、毛先をつぶさないように手で植え込みます」
そう話すのは、法被を着て紺の軍手をはめたブラシ職人さん。作業台の上にそろえた生成り色の毛束から、ほんの数本を指で掴み、二つ折りにして、穴の開いた木の本体に植えていきます。このとき、普通は毛先が揃うようにちょうど真ん中で折るところを、〈江戸屋〉ではわざとずらして段違いに折る。段差のある毛束にすることで、ブラシに弾力が生まれ、服地の汚れがしっかり取れるそうです。びっくりしたのは、一回に掴み取る毛束の量も、折り曲げる長さも、目と手の加減だけで毎回同じようにピタッと決まること。そして、1回分の毛束を取るたび、台の上に残った毛束の乱れをきちっと整えること。あたりまえのように繰り返される動きにこそ、職人技の原点がある。それを目の当たりにして、ぞくぞくしました。
そう話すのは、法被を着て紺の軍手をはめたブラシ職人さん。作業台の上にそろえた生成り色の毛束から、ほんの数本を指で掴み、二つ折りにして、穴の開いた木の本体に植えていきます。このとき、普通は毛先が揃うようにちょうど真ん中で折るところを、〈江戸屋〉ではわざとずらして段違いに折る。段差のある毛束にすることで、ブラシに弾力が生まれ、服地の汚れがしっかり取れるそうです。びっくりしたのは、一回に掴み取る毛束の量も、折り曲げる長さも、目と手の加減だけで毎回同じようにピタッと決まること。そして、1回分の毛束を取るたび、台の上に残った毛束の乱れをきちっと整えること。あたりまえのように繰り返される動きにこそ、職人技の原点がある。それを目の当たりにして、ぞくぞくしました。
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