これだけは絶対! ムナーリを知る5作品。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

これだけは絶対! ムナーリを知る5作品。

『カーサ ブルータス』2018年6月号より

マルチな才能で活躍した、ブルーノ・ムナーリの展覧会が開催中! 見逃せない作品5点を紹介します。

芸術家であり、絵本作家や著述家、さらにはグラフィックやプロダクトのデザイナーとしても活躍。多種多様な活動を展開した、イタリアが誇るクリエイティブ偉人が、ブルーノ・ムナーリである。日本でもファンの多い彼のこれまでで最大規模となる回顧展が〈神奈川県立近代美術館 葉山〉で開催中だ。

会場ではムナーリの長いキャリアにわたって生み出された作品、約320点が紹介され、そのうち約150点は日本初公開となる。モビールアート作品《役に立たない機械》や、油彩やアクリル、シルクスクリーンでも制作が続けられた《陰と陽》シリーズなどは、思考過程のわかる習作や直筆のスケッチも展示されていて、ムナーリを初めて知る人はもちろん、ディープなファンでも楽しめる内容となっているのが嬉しい。また会場では、未来派をはじめ、1940年代の具体芸術運動、キネティックアートやオプティカルアートの先駆者が参加した60年代のアルテ・プログランマータ運動など、ムナーリが各時代の前衛的な芸術運動にいかに加わり、その表現の幅を広げたかを知ることができる構成となっているのが、これまでにない試みだ。

今回は、名作揃いの展示品から、特に見逃せない作品を厳選。絵本や猿の玩具《ジジ》は目にすることも多いが、ここに掲載する5点はこの機会を逃すとなかなか出会えない貴重な作品ばかり。ぜひとも会場で実物を体感して、類いまれなるムナーリの創造性に触れてほしい。
1 文字盤で変化していく図形の構成。《時間X》 〈ダネーゼ〉から1963年に50個のみ販売された置き時計のような姿のキネティックアート。色分けされた半円と円形の板が時の流れとともに回転して重なり、文字盤の中で様々な図形に姿を変えていく。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari Photo by Roberto Marossi. Courtesy Fondazione Jacqueline Vodoz e Bruno Daneze
2 具体芸術運動期の貴重な油彩作品。《陰と陽》 背景の「地」と、描かれる「図」の関係を無化し、それぞれが等価に機能してひとつの絵を構成する《陰と陽》のシリーズ。変形板に油彩で描いた1953年の作品は、設置する壁を絵の一部として取り込み完成する。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari Photo by Roberto Marossi. Courtesy Fondazione Jacqueline Vodoz e Bruno Daneze
3 ユーモア溢れる、使用者限定椅子。《短い訪問者のための椅子》 ムナーリの遊び心が発揮された、極端に浅い奥行きと急角度の座面を持つ立体。ネーミングの通りに全く寛げない椅子型のオブジェで、製造はイタリアの家具メーカー〈ザノッタ〉によるもの。1988年の作品。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
4 空間に解き放たれた動きの芸術。《役に立たない機械》 モビールアートの先駆けとも言われる吊り下げ型の立体作品で、彩色された板が空気の流れに合わせてランダムに動いて空間を彩る。1930年代初頭より同名で複数モデルを制作。これは1934年に発表されたもの。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
5 思考の痕跡に触れられる直筆。《『木をかこう』のための表紙案》 木のかたちの描き方を楽しく教えてくれる絵本『木をかこう』のための表紙案は、1977年にフェルトペンで描かれたもの。ムナーリはこの本を応用し新聞紙で木を作る子ども向けのワークショップなども展開。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
<strong>1 文字盤で変化していく図形の構成。《時間X》</strong> 〈ダネーゼ〉から1963年に50個のみ販売された置き時計のような姿のキネティックアート。色分けされた半円と円形の板が時の流れとともに回転して重なり、文字盤の中で様々な図形に姿を変えていく。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari Photo by Roberto Marossi. Courtesy Fondazione Jacqueline Vodoz e Bruno Daneze
<strong>2 具体芸術運動期の貴重な油彩作品。《陰と陽》</strong> 背景の「地」と、描かれる「図」の関係を無化し、それぞれが等価に機能してひとつの絵を構成する《陰と陽》のシリーズ。変形板に油彩で描いた1953年の作品は、設置する壁を絵の一部として取り込み完成する。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari Photo by Roberto Marossi. Courtesy Fondazione Jacqueline Vodoz e Bruno Daneze
<strong>3 ユーモア溢れる、使用者限定椅子。《短い訪問者のための椅子》</strong> ムナーリの遊び心が発揮された、極端に浅い奥行きと急角度の座面を持つ立体。ネーミングの通りに全く寛げない椅子型のオブジェで、製造はイタリアの家具メーカー〈ザノッタ〉によるもの。1988年の作品。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
<strong>4 空間に解き放たれた動きの芸術。《役に立たない機械》</strong> モビールアートの先駆けとも言われる吊り下げ型の立体作品で、彩色された板が空気の流れに合わせてランダムに動いて空間を彩る。1930年代初頭より同名で複数モデルを制作。これは1934年に発表されたもの。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
<strong>5 思考の痕跡に触れられる直筆。《『木をかこう』のための表紙案》</strong> 木のかたちの描き方を楽しく教えてくれる絵本『木をかこう』のための表紙案は、1977年にフェルトペンで描かれたもの。ムナーリはこの本を応用し新聞紙で木を作る子ども向けのワークショップなども展開。© Bruno Munari. All rights reserved to Maurizio Corraini srl. Courtesy by Alberto Munari
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ブルーノ・ ムナーリ こどものこころをもちつづけるということ

〈神奈川県立近代美術館 葉山〉神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1 TEL 046 875 2800。〜6月10日。9時30分〜17時(入館は16時30分まで)。月曜休。一般1,200円。

ブルーノ・ムナーリ 1907年ミラノ生まれ。30年代よりイタリアを中心にした芸術運動、未来派の一員として絵画や立体作品を発表。絵本作家、グラフィックやプロダクトのデザイナーとしても活躍。1998年没。