最近、見かけた照明のテクニック。|土田貴宏の東京デザインジャーナル | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

最近、見かけた照明のテクニック。|土田貴宏の東京デザインジャーナル

海外での取材中などに、しばしば見かける洗練された照明の使い方。中には自宅で応用できそうなものもあります。『カーサ ブルータス』3月号の照明特集に合わせて、そんなアイデアの数々を読み解きます。

ニューヨーク〈ロール&ヒル〉のショールーム

〈ロール&ヒル〉のショールームは、照明そのもののクオリティーはもちろん、そのレイアウトにも感心させられる。 公式サイト
ニューヨークのソーホーにある照明ブランド〈ロール&ヒル〉のショールームは、新作《CRANE》を壁のそばにレイアウトしている。これは地元デザイナーのレディース&ジェントルメン・スタジオとノルウェーのヴェラ&キテの共作で、天井に据え付けたアーチの中にコードを通すことにより、光源の位置を上下に移動できる。白い壁を背景に、幾何学的で無駄のないフォルムのランプと、背が高めのアレカパームを組み合わるセンスを参考にしたい。〈ロール&ヒル〉は日本での本格展開が待ち望まれる照明ブランドのひとつ。

アントワープのプチホテル〈ジュリアン〉のラウンジ

中庭に面した〈ジュリアン〉のラウンジは昼間も薄暗く、照明の効果を巧みに生かしている。公式サイト
ベルギーのアントワープ中心部にある著名なプチホテル〈ジュリアン〉のラウンジは、家具や照明のマスターピースが品よくコーディネートされている。大きな窓に面したコーナーでは、ミケーレ・デ・ルッキとジャンカルロ・ファッシーナが共同でデザインした傑作照明《トロメオ》が、チャールズ&レイ・イームズの椅子《ラ・シェイズ》を照らす。光を椅子に向けることで、白い彫刻的なシートを浮かび上がらせるとともに、周囲に間接光を広める役割も果たしている。さらに椅子に座って本を読む時もちょうどいいという、1台3役のフロアライトの使い方。最低限のダウンライトと間接照明で明るさを抑えた空間ゆえに、この技が効いている。

ピート・ヘイン・イークのカフェ

オランダのアイントホーフェンにあるピート・ヘイン・イークのスタジオは、ショールーム、ショップ、カフェを併設し、地元の人々でにぎわっている。 公式サイト
オランダのデザイナー、ピート・ヘイン・イークが自身のスタジオに併設しているカフェは、工場だった建物をリノベーションしたもの。無骨な作りは昔のままだが、オリジナルのシャンデリアによって空間を明るく彩った。このシャンデリアは古いランプシェードをリサイクルしてあり、廃材やスクラップを一貫して素材に用いるピートのスタイルに則っている。1つ1つのランプはキッチュでも、こうして組み合わせるとデザイナーの哲学の表現になる。空間のスケールをふまえたレイアウトも巧みで、アートやグリーンがもたらす以上の効果を上げている。

ロンドン〈タウンホール・ホテル〉内の〈コーナールーム〉

味わいのあるヴィンテージの照明は、こうして並べることで個々の違いが引き立つ。公式サイト
ロンドンの〈タウンホール・ホテル〉の中にあるレストラン〈コーナールーム〉は、ヴィンテージのインダストリアルな照明で壁一面をデコレーションしている。この建物はもともと市庁舎として使われていた歴史的建築で、2010年にホテルとしてリノベーションされた。壁面の照明はその雰囲気を生かした発想で、ディナーの時間帯はほどよい明かりが灯され、インスタグラマーにとっても絶好のスポットに。ピート・ヘイン・イークのシャンデリアと共通するところもあるが、こちらは照明が1点ごとに歴史を物語るかのような趣がある。