「光は空間の雰囲気を決める」建築家・谷尻誠が語る理想の照明。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook line twitter

「光は空間の雰囲気を決める」建築家・谷尻誠が語る理想の照明。

ダイソンのLED照明《CSYS(シーシス)》を建築家・谷尻誠が、共同主宰する〈サポーズデザインオフィス〉の事務所兼飲食店〈社食堂〉で語った。ミニマルな姿と革新的な機能を兼ね備えたこの照明は、「1つのオブジェクトとして完成されている」。

今年4月にオープンした〈社食堂〉は、谷尻さんの設計事務所と食堂を融合した場所。ダイソンの《CSYS Floor》は、デスクワークに適した光をもたらす。
谷尻誠は、空間の新しい可能性を追求しつづける建築家だ。彼が共同主宰する〈サポーズデザインオフィス〉の東京事務所は、そんなスタンスを体現する場所。ワンフロアのスペースに、スタッフが作業するためのデスクと、食事やミーティングなどに使う〈社食堂〉が共存し、食堂部分は飲食店として誰でも利用できる。設計事務所のイメージを軽々と裏切る、風通しのいい場所になっている。

「建築とデザインの間や、建物と道路の間のように、僕はものとものの中間の領域に興味があります。ここはオフィスと食堂の間で、仕事場でありながらいろんな人が訪れる。こういうシームレスな空間でも機能は成立するし、新しいことが生まれやすいと思うんです」

その個性的な空間で、光は大きな役割を担っている。天井には構造用のH鋼がグリッド状に張り巡らしてあり、上側を蛍光灯で、床側をスポットライトで照らす。この照明は、必要に応じて自由に調整可能。ただし普段の明るさは、仕事場としては暗めに設定されている。

「光は空間の雰囲気を決める大きな要素です。僕が設計した《ONOMICHI U2》では、天井の低いホテルの客室を、居酒屋の個室のように心地よく籠もれるように光を工夫しました。また結婚式場のデザインは光の変化によって、場を盛り上げたり、静かにしたりできます。インテリアの中での光の大切さが身についたのは、ローコストでも快適に過ごせる住宅をたくさん試みてきたからでしょうね」

そう語る谷尻さんに、ダイソンの画期的なLED照明《CSYS》について聞いた。実際に彼が仕事をしている社食堂の一角に置いてみると、この空間に《CSYS Floor》のミニマルな佇まいはぴったりと調和している。
〈社食堂〉のいつもの席で、《CSYS Floor》を使いながら図面をチェックする谷尻さん。「光源はとても小さいのに手元全体が照らせてちょうどいい」と話す。
「仕事場や住宅なら、空間自体はギリギリまで暗いほうが雰囲気がいい」と話す谷尻さん。そこにはいくつかの理由がある。

「壁も天井も白くて、夜まで明るい光で照らされている環境で仕事するのは、精神にいいとは思えません。北欧みたいに夜が長いほうが、人のコミュニケーションは盛んになる気がします。照明は空間全体を明るく照らすべきだと考えがちですが、本当は必要なところがちゃんと明るければ問題はない。《CSYS》は、光源はとても小さいのに手元全体が照らせるのでちょうどいいですね」

《CSYS》は、高出力LED8個をわずか8mm間隔で配置し、十分な明るさで周囲を照らす。シンプルで潔い姿をしていながら、光源のまぶしさを感じさせない工夫も凝らされている。谷尻さんのような建築・インテリアのプロフェッショナルも満足させる、高い機能を備えたデザインだ。

「空間全体が暗く、仕事しているスタッフのまわりが照明で照らされた状態では、人と人の間に壁がなくても、ほどよい距離感が生まれます。そういう明るさは居心地がいい。僕は自宅でも、ペンダントライトをあえて床から数十センチの位置に調節して、壁を照らして間接照明のように使っています。この《CSYS Floor》は自由度が高いので、そういう使い方もできますね」

《CSYS》が採用している3 Axis Glide モーションという仕組みは、光源の位置を水平方向や垂直方向に簡単に移動でき、360°回転も可能。だからシーンや時間帯に合わせて光の位置を気軽に変えられる。さまざまな使い方を使い手が自由に発想できる“余地”のあるデザインは、人の過ごし方を規定しすぎない谷尻さんの建築と共通するところだ。