土田貴宏の東京デザインジャーナル|楽しくて奥深い、藤城成貴のゲーム。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

土田貴宏の東京デザインジャーナル|楽しくて奥深い、藤城成貴のゲーム。

独自のアプローチを貫くデザイナー、藤城成貴の新作は家具でも日用品でもなく“ゲーム”。そこに込められた意図とは。

藤城成貴がデザインし、自身のアトリエで制作したゲーム。
プロダクトデザイナーとして活躍する藤城成貴が、ゲームをテーマにした個展を渋谷の書店〈ユトレヒト〉で開催している。藤城は1990年代後半から〈イデー〉で家具などのデザインを手がけた後に独立。近年は〈エルメス〉の《petit h》やデンマークの〈HAY〉はじめ海外のブランドとのプロジェクトも多い。自身の手を使ったもの作りを重視するアプローチと、現代的な審美眼が彼の持ち味だ。
〈ユトレヒト〉では12点のゲームが展示されている。
今回、発表されたゲームは12点。すべてA4サイズのボックスで、手に持って動かしながら中のグレーのボールを決まった場所に移動させるシンプルなものだ。しかし、そこにデザイナーとしての彼の姿勢や感性が凝縮されている。
建材のサンプルや模型製作用の素材をカットして材料に用いている。
アクリルに穴があけてあり、グレーのボールを決まった位置に収めるタイプのゲーム。
「フランスに行くたびに骨董市などで買っていた、小さな箱の中のボールを動かすゲームがあるんです。そのサイズを大きくすると、箱の中に奥行きができ、建築的な空間が作れそうだと思いました」と藤城。古くから親しまれてきた既存の物事をヒントに、新しいクリエイションのモチーフを見出したということだ。それぞれのゲームには、確かに建築模型を思わせる趣もある。
天井などに使う防音ボードを使ったゲームは、1980年代のポストモダンを連想させる。
コルクと色付きのMDF(木質繊維の板)を使用したゲーム。3つのボールを、3つの穴に移動させる。
材料の多くは建材などのサンプルや、プロダクトの模型を作るための素材で、以前から仕事場にあったものが大半だという。デザインの現場では普通に流通しているものばかりだ。
「自分で色を塗ったりはせず、その素材の持つ色を活かし、大きさだけを合わせて構成しました。素材のテクスチャーや凹凸によって、ボールの転がり方も変わる。その感触が手から伝わってくるんです」
「どのゲームも難しいけれどクリアできます」と藤城。