グランジ先生、教えて! アングルポイズの魅力って? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS facebook-a facebook instagram line twitter youtube

グランジ先生、教えて! アングルポイズの魅力って?

イギリスが生んだアーム式デスクライト〈アングルポイズ〉。そのリニューアルを手がけたデザイン界の巨匠を直撃!

小さなバネが生んだバランスの奇跡です。

マーガレット・ハウエルやポール・スミスとのコラボレーションでも注目されているアーム型のデスクライト〈アングルポイズ〉。その始まりは1930年代、イギリスのカーエンジニア、ジョージ・カワーダインが考案したものだった。以来、デザインが更新されながらも、ずっと愛されてきたデザインクラシックだ。

2003年、この照明をさらにモダンにリニューアルするのに起用されたのがケネス・グランジ氏だった。ロンドンのブラックキャブなど、アイコン的な作品を数多く世に送り出してきたイギリスを代表するインダストリアルデザイナーだ。そんな彼をロンドンの自宅に訪ねる幸運を得た。

「アームを自由な角度に曲げてキープするメカニズムは、スプリングが成せるバランスの業。小さな奇跡ともいえるアングルポイズには、以前から魅せられていました」
2003年にグランジ氏が初めてリニューアルを手がけた《Type3》。傘が熱くならないよう二重構造を採用。現在は廃番。左上のグランジ氏の左のものは2004年作の《Type1228》。フロア、デスク、ウォールなど4タイプあり、3色展開。
87歳とはとても思えぬ若々しさ。グランジ氏は闊達に語り始めた。

「学生時代、スプリングを製作する工場で働いたことがあり、それはインダストリアルデザインに興味を持つきっかけにもなりました。くしくもその半世紀後、スプリングに引き寄せられるように、アングルポイズから依頼を受けたんです。その歴史を継承しながら、さらにモダンでクオリティーの高い製品を、と見直しをしました」。その最初の製品が《タイプ3》で、《タイプ75》は70年代のデザインをリメイクしたものになる。

「模型を作りながらデザインするのが私の手法です。作り手と同時に使い手の目線でデザインが進行できますから。クライアントのためというより、常に使い手のことを考えてデザインします。それがデザイナーとしての義務であり責任です。時にはこだわりすぎるかなと思うこともありますよ」

イギリスのディーター・ラムスとも称されるグランジ氏だが、「ラムス氏に比べ、バウハウスの影響は軽めだと思っています。自分をモダニストというなら、それは使い手のためにデザインしてきた点でしょう。モノトーンではなくカラーを使うことも恐れませんし」。

ということで、今回のカラフルなコラボレーションもお気に入りだという。現在、家具をデザイン中という。生涯現役の巨匠。その話はさすが叡智にあふれていた。