Good TOOLS For Me | 愛用の石鹸を教えてください。

〈サボネリーズ・ブリュッセル〉のナチュラル・モイスチャライジングソープ。

死海の泥を使用したデッドシーマッドを愛用中。表面に彫られた文字なども好きなので、消えていくときは少し切ない。

石鹸と聞いて、すぐさま牛乳石鹸とシセイドウ・ホネケーキを連想してしまったわたしの石鹸観は、おおむねノスタルジーに支配されているようです。でも、この数年の間、何度かわたしの元にやってきた石鹸があって、今、それを愛用しています。それはベルギーのサボネリーズ・ブリュッセルというところの石鹸で、家族や友人からのプレゼントでした。

まず、たたずまいが、石鹸の域を出ていなくっていい。ちょっと立派な箱に入ってはいるけれど、ちゃんと「わたしは石鹸です」って顔をしています。パッケージにうっとりしすぎて、気づけば観賞用になってしまった石鹸もたくさんあるのです。そして実際使ってみたとき、なめらかな泡に、すっかり幸せになってしまいました。オーガニック原料を使い、昔ながらの手作り製法なのだと聞きました。あと、最大のポイントは香り。ナチュラルではあるけど、ちょっと外国っぽい香りばかりで、お風呂で夢の世界に行くのにぴったり（笑）。リキッドソープ優勢な昨今ですが、石鹸愛がよみがえりました。

前田ひさえ

イラストレーター。主な仕事に『愛の夢とか』（川上未映子著）等の書籍装画や〈Fairycake Fair〉ルミネ有楽町店の装飾など。〈kvina〉や〈meme〉の活動も。

〈ラリトプール〉のフェイスソープ。

パッケージの細い糸の先には可愛い結び目が。これは、日本のお守りにも使われる伝統の飾り結びだそうです。

見た目だけでは選べないモノの買い物が苦手です。スキンケア製品もそう。デザインも好みで、肌にも合うものを探すのは案外難しい。

愛用のフェイスソープは、何より大事な保湿もしっかり優秀で、強すぎないホッとする香りも好みです。ヒマラヤに住むヤクというウシ科の動物のミルクとハーブからできており、ネパールの女性の自立を願ってスタートしたブランド〈ラリトプール〉のものです。

グラフィックのデザインは〈SIRI SIRI〉というジュエリーブランドのデザイナー。私が大切にしているガラスのイヤリングもここのものです。

展示会に並んだピンクのパッケージに目を引かれたのですが、実はひそかにこの色に弱いのか、私の店〈OCAILLE〉のカードも同じ色です。スッキリと潔い角のある正方形のソープ。カサッとした紙にきっちり綺麗に包まれて、繊細な糸が掛けられた様子は慎ましい贈り物のようです。終わりかけの薄っぺたく小さくなったものも愛おしくはありますが、包みを開け、また新しいものを使い始めるのが楽しみなのです。

恩田登喜枝

ヨーロッパの上質なヴィンテージと、新しい今のデザイナーの服や小物が並ぶセレクトショップ〈OCAILLE〉を、2002年、神宮前のマンションの一室にオープン。

〈D.R.HARRIS〉のアーモンドオイルソープ。

あの日以来、英国に旅する際は必ずセントジェームス通りの店舗に立ち寄り、3個入りのBOXを自分用に購入しています。

この石鹸との出会いはかれこれ20年以上前になりますか。イギリス好きの僕に知り合いがプレゼントしてくれたのが最初のきっかけ。薄いミントグリーンの箱にクラシックな赤いレタリング、王室御用達のロイヤルワラントも入り、魅力的で自分好みのパッケージでした。そして、箱を開けた瞬間上品なアーモンドオイルの香りがフワーと心地良く湧き出てきて、それまでの僕の石鹸に対する価値観を一発で覆すような完璧さに衝撃を受けたのをよく覚えています。

石鹸は自然な香りや柔らかい香りが好みで、鼻を刺すような香りは好みではなく、特に固形の石鹸が好きで主に風呂で使用するというのが購入時の基準になっています。「香り、形、大きさ、泡立ち」が重要なポイント。体を洗うとアーモンドオイルソープの気品ある香りと泡に包まれ、一日の疲れもブッ飛ぶ感じ！　僕が今まで出会ってきた石鹸の中ではトップクラスに匹敵する代物。一度使用すると、その品質の良さに、200年も続いている老舗の理由がわかる気がします。