DESIGN
古今東西 かしゆか商店【ビスポーク万年筆】
『カーサ ブルータス』2022年4月号より
April 7, 2022 | Design | KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts | photo_Keisuke Fukamizu hair & make-up_Masako Osuga editor_Masae Wako
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回の旅先は鳥取県。筆跡や書き癖を診断して手作りする、世界でも希少なフルカスタムメイドの万年筆と出会いました。
手描き文字の持つ温かさや「伝える力」に興味が湧き、ペン字を習いたいと思っていた時、世界でも稀な “フルカスタムメイドの万年筆” の工房が鳥取にあると知りました。
「ヨーロッパで現在の万年筆に近い形が完成したのは19世紀後半。日本では1910年代に製造が始まります。が、やがてボールペンなどの筆記具やメールに比べ、需要が激減してしまったんです」
と話すのは、1934年創業の〈万年筆博士〉3代目、山本竜さん。ならば小さな工房でしかできない特別な万年筆を……と、先代とともに考えたのが、一人一人の「書き癖」を診断し、昔ながらの手削りで作る方法でした。書き癖とは、軸を握る位置や筆圧、速さ、ペン先を倒す角度などのこと。それらを元に書き味や寸法を設計し、約1か月かけて製作するのだとか。
「ヨーロッパで現在の万年筆に近い形が完成したのは19世紀後半。日本では1910年代に製造が始まります。が、やがてボールペンなどの筆記具やメールに比べ、需要が激減してしまったんです」
と話すのは、1934年創業の〈万年筆博士〉3代目、山本竜さん。ならば小さな工房でしかできない特別な万年筆を……と、先代とともに考えたのが、一人一人の「書き癖」を診断し、昔ながらの手削りで作る方法でした。書き癖とは、軸を握る位置や筆圧、速さ、ペン先を倒す角度などのこと。それらを元に書き味や寸法を設計し、約1か月かけて製作するのだとか。
「ペン先は非常に硬い金属製ですが、書き癖に合わせて少しずつ研磨され、いつの間にかその人にとって使いやすい形になるんですね。とはいえ、そこまで育つには何十年もかかる。だから書き癖を検証し、最初から “その人が20年30年使い込んだ時の書き味” になるようにペン先を削るんです」
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