ジョン・ポーソンのカントリーライフ|山下めぐみのロンドン通信 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ジョン・ポーソンのカントリーライフ|山下めぐみのロンドン通信

パンデミックを機に田舎の別邸にしばし居を移した建築家、ジョン・ポーソン。その間、犬を飼い、料理本も出版した暮らしぶりをリポート。若き日に禅僧を目指して日本に渡ったというレジェンドの真相も明らかに!

元農家を増改築した別邸〈ホーム・ファーム〉でくつろぐキャサリン&ジョン・ポーソン。
ロンドンから北西に2時間ほど。風景も古い家並みも美しいコッツウォルズは政治家や有名人の別荘も多い憧れのエリアだ。「オマチシテマシタ」若い頃、日本に暮らしたこともあるジョン・ポーソンが日本語で出迎えてくれた。その横にはロックダウン中に家族の一員に加わった犬のロッキー。すっかりのどかな田舎暮らしという感じだ。
フォームハウスと納屋だった部分はガラス張りの増築で接続され、全長50メートルの建物に。
ドナルド・ジャッドのイスと陰影が美しい二つの建物をつなぐ増築部。
上下にスライドして開閉する巨大なガラス戸を開けると、内と外が一続きになる。
天井を吹き抜き、壁や梁など納屋だった形跡はそのまま残した。大きなテーブルの奥にはキッチンが。
Q:こんな素晴らしい環境なら、巣ごもりも苦にならないですね。

A:2年前に完成しましたが、ここに来られるのは週末や休暇の時だけでした。そこにロックダウンが始まったので、数ヶ月間はここで完全に巣ごもりしていました。息子たちもしばらく来ていたので、ロックダウンは久しぶりに家族が長期間集まるいい機会になりました。もともと成人した子供たちが来てくれるようにとデザインしたのですが、今はなかなか帰りたがらないのが悩みです(笑)。

Q: なぜ、ここに別邸を構えることに?

A:長いことロンドンに暮らしていますが、妻も私もだんだん田舎に家を持ちたいと思い始め、この物件に出会いました。ここは近くにある、現在はナショナル・トラストが管理する屋敷〈チャスルトン・ハウス〉の農場だったところで、家の一番古い部分は1610年に建てられたもの。牛舎や納屋が隣接し、ここで生まれ育った兄弟が酪農をしながら暮らしていたものが売りに出ていました。最初に訪問したときは本当にボロボロで、蜘蛛の巣だらけのところもあって。が、景観も素晴らしく、食用の鯉のための池もあり、手を入れれば素晴らしい家になるヴィジョンが広がりました。


Q:ボロボロとはいえ、保存指定がついていますね?

A:ええ。なので、増改築にもいろいろ規制があって許可も必要です。それで完成まで5年ほどかかりました。メインの住居用の建物と隣接する牛舎や納屋の部分をつなげる接続部を増築して、一つの大きな建物にしています。端から端まで50メートルあり、その両側にキッチンを作りました。どこにいてもコーヒーがすぐに作れるように、と言ったりしますが、実際には子供たちやゲストが来たときに真ん中で家を2つに分割できるように考えてのことです。既存の建物を修復して生かしながら、断熱材を入れたり、床暖房を入れたり、屋根を葺き替えたり、新しい大きな窓を付けたり、新築より大変な作業です。

Q:その他にも別の建物がありますが。

A:池に面した二階建ての建物も古い納屋を改築したもので、ここも独立したゲストハウスになっています。あとは木製チップが燃料のバイオマスボイラーのある建物とランドリー用の小屋が別々にあります。ガーデンは妻のキャサリンの担当ですが、草花やハーブなど育てています。農地の部分は貸し出していて、牛がすぐそばまで来ることもあります。
全方向が開口した部屋。窓は合計66もある。
池に面したもう一つの納屋もゲストハウスに改築。
エルム材をふんだんに使ったキッチン。照明もポーソンのデザインに。
床暖房完備だが、薪のストーブも。
Q:そして、この家を舞台に、料理本『Home Farm Cooking』が出版になりました。

A:家族や友人が集まって食をともにするというのが、この家の目的の一つなので、料理本はぜひ出したかったんです。20年前にもロンドンの自邸を舞台に『Living and Eating』という料理本を出しています。その時はプロの料理家とのコラボですが、このあたりには地産の素晴らしい食材もあるし、実際にこの家で食べている家庭料理を紹介したいと。そこでキャサリンがレシピを考え、ロックダウンの間にここで彼女が実際作った料理を撮影しました。建築とインテリアほか食器なども私がデザインしたものを使っています。

Q:料理だけでなく、人が食べる様子なども盛り込まれ、ミニマリストの生活の様子がわかる楽しい本になっています。そして、今日はその本の中から、キャサリンさんがトマトタルトを作ってくださいました。こんなおしゃれな食事を毎日しているのでしょうか?

A:(キャサリン)実際にはどれもシンプルなレシピなので、意外と簡単だと思いますよ。ここにはいろんなゲストも来るし、これを機に料理のレパートリーを広げようと思っていたところ、本にしようということになって。季節ごとにおつまみからデザートまで、100のレシピを載せています。ジョン? 彼は試食専門です。今日はお天気もいいし、池のほとりのテーブルで食べましょう。夏は外で食べることが多いですが、季節によってレシピだけでなく、食ベる場所も変わります。
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