〈石巻工房〉の姿勢に共感して生まれた家具作りとは|〈カリモク家具〉の新しい木の家具 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

〈石巻工房〉の姿勢に共感して生まれた家具作りとは|〈カリモク家具〉の新しい木の家具

『カーサブルータス』 2021年7月号より

東日本大震災の直後から活動を続ける〈石巻工房〉。その姿勢に共感した〈石巻工房 by Karimoku〉の家具は、本質的なデザインと高度なもの作りが結晶している。

Vol.3 Ishinomaki Laboratory by Karimoku(石巻工房 by カリモク)

KOBO SOFA by Karimoku(2021)
芦沢啓治
〈石巻工房〉の定番《工房ソファ》の基本的な構造を受け継ぎ、ニュートラルで洗練されたソファへと生まれ変わらせた。フレームは国産ナラなどの集成材で、〈カリモク家具〉の通常の製品には使われにくい材も有効活用している。張り地はデンマークの〈クヴァドラ〉から選択可能。3シーター256,300円〜。

DIYのためのデザインに、木の家具の原点を見出す。

〈石巻工房〉ファウンダーで、〈石巻工房 by Karimoku〉のデザインディレクターも務める芦沢啓治。
〈石巻工房〉の《ISHINOMAKI STOOL》(右)と、リデザインでスリムになった〈石巻工房 by Karimoku〉の《ISHINOMAKI STOOL by Karimoku》。
トラフ建築設計事務所による《AA STOOL by Karimoku》。〈カリモク家具〉が得意とする塗装技術も生かした。
芦沢の設計事務所では、国内外の家具ブランドと多くのプロジェクトを進めている。
《KOBO SOFA by Karimoku》は、直線的に構成した木のフレームに、四角いクッションをはめ込んだようなソファだ。普通に座るのはもちろん、シートに寝転んだり、床に座ってもたれたり、いろいろな使い方にフィットする。飾り気のないデザインでありながら、ディテールまで丁寧に作られた家具であることは、実際に触れてみると一目瞭然だ。

 このソファの元になったのは、家具ブランド〈石巻工房〉の《KOBO SOFA》だった。〈石巻工房〉は、2011年に東日本大震災で被災した石巻市の住民向け工房として始まり、簡単な設備と手に入りやすい木材でDIYできる家具を発表してきた。そのディレクションを創設時から務めるのが建築家の芦沢啓治。《KOBO SOFA》も彼のデザインだ。

「〈石巻工房〉は、世界各地のマニュファクチャーと手を組んで同様のコンセプトで家具を作るメイド・イン・ローカルという試みをしてきました。〈カリモク家具〉によるメイド・イン・ローカルとして2018年に始まったのが〈石巻工房 by Karimoku〉です」

 芦沢は〈石巻工房 by Karimoku〉でもデザインディレクターを務め、〈カリモク家具〉の持ち味を生かしながら〈石巻工房〉の家具をリデザインしている。《KOBO SOFA by Karimoku》は、その最新作のひとつである。

「基本的な構造は変わりませんが、カリモクの規模と高い技術力があればまったく違う製品になります。また素材も、山ではいろんな木が採れるんだから、虫食いの跡がある木などを積極的に使うことにしました。材料を無駄にしないのは〈石巻工房〉も同じです」

 一連のアイテムに共通するのは「正しい構造」なのだと芦沢は説明する。構造そのものが、家具の機能と強度を適切に備えていること。それは制約の多い中でのDIYを前提に生まれた〈石巻工房〉ならではの個性だ。60年以上も木の家具を作り続け、豊富なバリエーションを生み出してきた〈カリモク家具〉は、そこに木の家具の原点を見出したのだ。

「ここまでシンプルな家具を作ることによって、立ち現れてくるカリモクらしさもある。本来、木工家具ってこういうものだったんだというのが見えてくるんです」

芦沢啓治

1996年横浜国立大学卒業。2005年に自身の設計事務所を設立。建築、リノベーション、インテリアデザインをはじめ家具ブランドとの協業も積極的に行う。一貫するフィロソフィーは「正直なデザイン」。〈Karimoku Commons Tokyo〉の空間も手がけた。
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