ヴァーナー・パントンの名作照明《パンテラ》、50周年記念モデルがルイスポールセンより登場。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ヴァーナー・パントンの名作照明《パンテラ》、50周年記念モデルがルイスポールセンより登場。

大胆な作風で知られる北欧出身のデザイナー、ヴァーナー・パントンによる照明器具のマスターピース《パンテラ》が発表されたのは1971年。その50周年を記念して、ゴールドをまとった特別なニューモデルが発表されました。

《パンテラ》発表から50周年を記念して登場した《パンテラ テーブル 320》。ゴールド色が目を引く真鍮メタライズドカラーが新しく加わった。photo_Junichi Kusaka

●北欧デザインの異才は、照明の名手でもあった。

デンマークに生まれ、20世紀の北欧を代表するデザイナーとして知られるヴァーナー・パントン。ただし彼の作風は、北欧の王道を行くスタイルとは一線を画す。コペンハーゲンの王立美術アカデミーで建築を学んだパントンは、1960年代前半からスイスに拠点を置き、世界初のプラスチック一体成形の椅子《パントンチェア》などを発表して注目を集めていく。

フューチャリスティックな素材使いの家具や、カラフルな幾何学パターンのテキスタイルは、今日もパントンの代名詞だ。色柄、形、素材はじめあらゆる点で従来にない表現を徹底した彼は、奇抜な作風のデザイナーとされることが多い。
ヴァーナー・パントン。1926年コペンハーゲン生まれ。アルネ・ヤコブセンの建築事務所などを経て、スイスを拠点に活躍した。
しかし照明に関しては、パントンは北欧の伝統に通じる秀作を残している。これは、当時のデンマークの照明デザインの第一人者、ポール・ヘニングセンとアカデミー在学中に知り合い、大きな影響を受けたからだと考えられる。ヘニングセンはペンダントライト《PH5》などで知られる巨匠で、20年代から照明の機能や構造を研究し、技術革新に対しても積極的だった。

ちなみにふたりが知り合ったのは、パントンが50年に同じアカデミーで学んでいたヘニングセンの義理の娘と結婚したのがきっかけ。翌年には離婚しているが、それでもヘニングセンはパントンのメンターであり続けたという。

そんなパントンによる照明器具の中で最もアイコニックな《パンテラ》は、キャリアの絶頂期である71年の作品。生涯にわたり幾何学的なフォルムを好んだ彼らしい、半球型のシェードが印象深いランプだ。
〈ルイスポールセン〉が70年代から製造する乳白アクリルの《パンテラ》。現在は5サイズが揃う。©Verner Panton Design AG.
細い1本の支柱により、大きなシェードが宙に浮いているように見える。こうした無重力のモチーフもパントンの作品にしばしば見られるものだ。

一方で、このランプは眩しい光源が直接見えず、光を優しく拡散するフォルムになっている。支柱は下部だけでなく上部もトランペット状に広がり、その構造は照明への深い理解を示す。そして眩しさのない光を放つ仕組みは、ヘニングセンが照明で最も重視したテーマでもあり、照明ブランド〈ルイスポールセン〉のブランドフィロソフィーとして今なお受け継がれている。《パンテラ》が《PH5》と同様に、このブランドで製品化されたのも偶然ではない。

なお《パンテラ》で最もベーシックなのは乳白アクリルのモデルだが、パントンは当初から金属製のシェードをメタリックに仕上げたデザインを望んでいた。しかし製造上の課題から量産されず、2016年に初めてシルヴァー・クローム仕様の《パンテラ ミニテーブル》が発売されている。

そして《パンテラ》誕生50周年を迎えた今年、直径32cmの新サイズ《パンテラ テーブル 320》に、ゴールドに輝く真鍮メタライズド仕様が登場した。大胆にして気品を備えた存在感が、普遍的なフォルムをいっそう際立たせている。またパントンが活躍した頃のきらびやかなサブカルチャーの雰囲気と通じるところもある。特別なアニバーサリーにふさわしい、彼のクリエイションの正統な進化を思わせる新作だ。

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