DESIGN
古今東西 かしゆか商店【 伊賀くみひもの帯締め 】
『カーサ ブルータス』2021年1月号より
January 8, 2021 | Design | KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts | photo_Keisuke Fukamizu hair & makeup_Masako Osuga editor_Masae Wako
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回訪ねたのは三重県伊賀市。国の伝統的工芸品でもある伊賀くみひもの工房で、色とりどりの帯締めと出会った。
少し前に紬の工房を訪ねて着物への憧れが強まったのを機に、今回は帯締めを探そうと思い立ちました。出かけたのは、三重県の伝統工芸“伊賀くみひも”の工房、1932年創業の〈松島組紐店〉です。
組紐は絹糸を染色し、組台を使って編み上げたもの。江戸、京都と並ぶ産地・伊賀の組紐づくりは、奈良時代より前から始まったと言われています。中でも手組の帯締めは全国の大半を占める生産量なのだとか。さっそくその「手組」を見せていただきました。
組紐は絹糸を染色し、組台を使って編み上げたもの。江戸、京都と並ぶ産地・伊賀の組紐づくりは、奈良時代より前から始まったと言われています。中でも手組の帯締めは全国の大半を占める生産量なのだとか。さっそくその「手組」を見せていただきました。
「組紐の原点は三つ編みです。2本だと“撚り”にしかならず3本で初めて“組み”ができるんです」
と話すのは当主の松島俊策さん。工房には鼓形の丸台や織機に似た高台など、3本ならぬ数十本の糸を掛けた組台が並んでいます。この日、高台で伝統的な高麗組の組紐を組んでいたのは松島健太さん。木製の玉に巻きつけた絹糸を、台の上で左から右、右から左へと交差させ、竹のヘラでトントンと締めながら組み上げます。
と話すのは当主の松島俊策さん。工房には鼓形の丸台や織機に似た高台など、3本ならぬ数十本の糸を掛けた組台が並んでいます。この日、高台で伝統的な高麗組の組紐を組んでいたのは松島健太さん。木製の玉に巻きつけた絹糸を、台の上で左から右、右から左へと交差させ、竹のヘラでトントンと締めながら組み上げます。
「糸を交差させることを“綾をとる”と言います。あやとりの綾ですね」と健太さん。綾のとり方で柄が決まるのですが、図案があるわけではなく、綾書きという指示書に沿って手を動かしていく。例えば今日の「きりん」柄なら、約20cmで1リピートとなるよう、150通りもの綾とりを繰り返します。五尺(150cm)の帯締めを組むのに3日はかかるのだとか。
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