DESIGN
古今東西 かしゆか商店【遠州綿紬の小座布団】
『カーサ ブルータス』2020年12月号より
December 8, 2020 | Design | KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts | photo_Keisuke Fukamizu hair & makeup_Masako Osuga editor_Masae Wako
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回出会ったのは、静岡の地場産業・遠州綿紬の小座布団。日本随一の布団職人がつくる、ひとり分サイズの名品です。
家でくつろぐ際、ソファよりもフローリングに座って過ごすことが増えました。普段は床に毛布を敷いたり愛猫のクッションを借りたりするのですが、ふと見つけたのが、布団職人がつくる小座布団です。
静岡市で約90年続く〈綿匠 新貝ふとん店〉の新貝晃一郎さんは、布団づくりで黄綬褒章を受章した現代の名工。原料の綿をインドに出向いて仕入れ、製綿から仕上げまでたったひとり、誰にも真似できない技で布団をつくっています。今回は、そんな名匠の座布団を目当てに工房を訪ねました。
静岡市で約90年続く〈綿匠 新貝ふとん店〉の新貝晃一郎さんは、布団づくりで黄綬褒章を受章した現代の名工。原料の綿をインドに出向いて仕入れ、製綿から仕上げまでたったひとり、誰にも真似できない技で布団をつくっています。今回は、そんな名匠の座布団を目当てに工房を訪ねました。
最初に見学したのは製綿工場。おじいさんの代から使っている製綿機で各国から仕入れた綿をほぐしながらブレンドし、柔らかいけれど反発力のある綿に整えます。「古い機械は綿に含まれる油分や異物を“取り除きすぎない”ので、綿本来の風合いと強さも持つ綿ができるんです」と新貝さん。次は、工場で薄いシート状にした綿を重ねて“座布団の中身”を成形。重ねた綿を少しだけ触らせてもらったら、ふわっふわで雲のよう。しっとりしているけれど間に空気がいっぱい入っているのでコシがあるんです。すでに気持ちいい!
「外からは見えない中身を美しくつくってこそ、いい座布団になる。内面が大切だと自分にも言い聞かせています」と話す言葉に、長年、同じものをつくり続けてきた職人さんの誠実さを感じました。
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