DESIGN
nendoがグミをデザイン?! その真相を佐藤オオキさんに聞きました。
『カーサ ブルータス』2020年1月号より
| Design, Food | a wall newspaper | photo_Kenya Abe text_Kaoru Tashiro
「カンロ飴」で広く知られ、ハードキャンディ市場シェア1位(2019年)の〈カンロ〉が、nendoとコラボ? 新発売のグミの名は《カンロ ◯△□グミ》。編集部は早速nendo代表、佐藤オオキに話を聞くことにした。
噂のグミのキャッチフレーズは「ふわ、もち、かち、3つの食感が楽しいグミ」。パッケージの顔はすっきりとまとめられ、幾何学模様の2色刷り。3つの図形「◯△□」が新発売グミの商標名だ。異色コラボのきっかけについて佐藤氏はこう語る。
「一度、カンロさんからお話しを聞く機会があったんです。そこで、素材、製造方法の開発など、新たなことにチャレンジするユニークなものづくりの世界に引き込まれ、純粋にこういう人たちと仕事がしてみたいと思いました」
「一度、カンロさんからお話しを聞く機会があったんです。そこで、素材、製造方法の開発など、新たなことにチャレンジするユニークなものづくりの世界に引き込まれ、純粋にこういう人たちと仕事がしてみたいと思いました」
近年、〈カンロ〉はグミの開発に熱心で、2019年には製造ラインを増設、さらにグミ製造時に気泡を入れて、ふんわりとした食感を生み出すエアイングミ製法を確立した。この次世代グミのデザイン依頼がかくして、カンロに注目するnendoへと届いたのだ。
nendoは何をデザインしたのか。まず、グミのパッケージに異なるフレーバーを混在させるのではなく、単一フレーバーで異なる食感を混在させるという新たな試みを提案した。食感は「ふわ=球、もち=円錐、かち=キューブ」。たしかに3種を食べ比べると、どれもグレープ味なのにまったく異なる印象、というか「体験」が広がる。そして3形態はなんとなくデザインされたものではなかった。
「食感と形状の関係を探るため、3Dプリンターでシリコンのモックを出力し、いくつも噛んで試して辿り着いたのがこの3つでした」
例えばエアインタイプは、噛んだ際に歯を包み込み、食感の軽さを感じやすい“球形”。グミと歯との接触面から得られる力学と感覚のスタディーを重ねたという点は、従来のデザイナーの仕事の枠を広げている。そしてパッケージはご覧の通りのシンプルな仕様。通常は縦長パッケージの上にある開口部を側面に移し、より広くしてグミを取り出しやすくした。店舗では袋は縦長に吊るされるため、ロゴは両方向からも読み安くなるよう斜めに配置した。
一般的なグミ売り場を見渡せば極彩色で情報過多なものが定番。そんな従来の菓子パッケージのデフォルトを《カンロ ◯△□グミ》が刷新し、売り場の風景のみならず、コンセプトまで変えることになるかもしれない!?
「食感と形状の関係を探るため、3Dプリンターでシリコンのモックを出力し、いくつも噛んで試して辿り着いたのがこの3つでした」
例えばエアインタイプは、噛んだ際に歯を包み込み、食感の軽さを感じやすい“球形”。グミと歯との接触面から得られる力学と感覚のスタディーを重ねたという点は、従来のデザイナーの仕事の枠を広げている。そしてパッケージはご覧の通りのシンプルな仕様。通常は縦長パッケージの上にある開口部を側面に移し、より広くしてグミを取り出しやすくした。店舗では袋は縦長に吊るされるため、ロゴは両方向からも読み安くなるよう斜めに配置した。
一般的なグミ売り場を見渡せば極彩色で情報過多なものが定番。そんな従来の菓子パッケージのデフォルトを《カンロ ◯△□グミ》が刷新し、売り場の風景のみならず、コンセプトまで変えることになるかもしれない!?
《カンロ ◯△□グミ》
12月1日に〈カンロ〉から発売されたグミ。キャッチフレーズは「ふわ、もち、かち、3つの食感が楽しいグミ」。nendoは、グミの食感、フォルム、パッケージをデザインした。参考価格216円(税込)。

佐藤オオキ
1977年カナダ生まれ。プロダクト、建築、家具など多岐にわたる領域でプロジェクトを多数手がける。現在J-WAVEにて放送中の番組『CREADIO』のナビゲーターも務める。
