DESIGN
東京・青山に〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉路面店が登場。
| Design, Architecture | casabrutus.com | text_Kanae Hasegawa editor_Keiko Kusano
パリの総合美容専門店〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉の新しい路面店が東京・青山の骨董通りにオープン。しかし、通りに面した表にはビュリーの文字がどこにもない…? 周囲から浮かないようにカムフラージュしつつ存在感を見せる〈ビュリー〉の新店舗をご紹介。
植物の恵みを生かしたオイルやスキンケア商品とともに、パッケージの美しさで知られる1803年創業のパリの総合美容専門店〈オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー〉。〈ビュリー〉は、これまでお店を開く地域になじむ、地元の人に親しまれる店づくりを大切にしてきた。
日本における7店舗目となる東京・青山の骨董通り店があるのは、1982年に建てられた煉瓦造りのビルの一角だ。築40年あまりのビルは外壁だけでなく、街路まで煉瓦タイルが敷き詰められているところが特徴だ。この特徴を生かして、煉瓦を店舗の中に引き込むことで、道行く人がおのずと店の中に誘い込まれるような店構えになっている。煉瓦を取り入れたことでまるでビルが建てられた当初から、この店も存在していたかのよう。加えて、古代ローマの浴場を連想させる煉瓦はバスルーム周りの商品が多いビュリーの商品を置くセッティングとしてしっくりくる。
日本における7店舗目となる東京・青山の骨董通り店があるのは、1982年に建てられた煉瓦造りのビルの一角だ。築40年あまりのビルは外壁だけでなく、街路まで煉瓦タイルが敷き詰められているところが特徴だ。この特徴を生かして、煉瓦を店舗の中に引き込むことで、道行く人がおのずと店の中に誘い込まれるような店構えになっている。煉瓦を取り入れたことでまるでビルが建てられた当初から、この店も存在していたかのよう。加えて、古代ローマの浴場を連想させる煉瓦はバスルーム周りの商品が多いビュリーの商品を置くセッティングとしてしっくりくる。
店の外に〈ビュリー〉の文字すら出すことなく、景観から浮かないようにした一方で、内装は景観に埋もれることなく、〈ビュリー〉の世界観が詰まった空間になっている。〈ビュリー〉の根底にある伝統とモダニティが手を取り合うこと、そして手仕事とテクノロジーへの賛歌が随所に感じられる。奥に長く、床から壁まで煉瓦で包まれた店内は、店ではなく、ビルの奥へと続く通路なのかと、戸惑う。
そんな長い“通路”に沿って、縦横無尽にディスプレイされた桐山製作所による理化学研究用のガラス器具が目を引く。ピンボールゲームのように複雑に組み合わさったガラス器具のディスプレイは、全6種あるビュリーのボディオイルを客自ら試すことができるインスタレーション。装飾性など一切不要で、実験室における機能性を追求した結果、生まれた造形美は日本のガラス職人の化学的知識と手仕事が結実したもの。ビュリーが嫉妬するほど恋した現代日本のものづくりだ。
そんな長い“通路”に沿って、縦横無尽にディスプレイされた桐山製作所による理化学研究用のガラス器具が目を引く。ピンボールゲームのように複雑に組み合わさったガラス器具のディスプレイは、全6種あるビュリーのボディオイルを客自ら試すことができるインスタレーション。装飾性など一切不要で、実験室における機能性を追求した結果、生まれた造形美は日本のガラス職人の化学的知識と手仕事が結実したもの。ビュリーが嫉妬するほど恋した現代日本のものづくりだ。
現代日本の職人技が光るガラスのディスプレイと向き合うのが、ビューティーカウンターを配した、フランスの装飾芸術の伝統を踏襲した空間だ。店の外からは見えないが、店の中に足を踏み入れて発見するカウンター越しの奥まったスペースは、壁面から天井にわたってウォールナット材のウッドパネルで覆われている。そのウッドパネルには、真紅のベルベット生地と神話の中の水浴のシーンを連想させる石膏リリーフが張り込まれ、親密な空間で使うことの多いビュリーのアイテムにぴったりのバックグラウンドとなっている。ここだけ遠い時代のフランスかと見まがう世界が存在し、胸が高鳴るだろう。
美容には、効果効能だけでなく、自分をいつくしむ気持ちも大切だろう。そのためにはある種の魔法の力も必要だ。その魔法にかかる場所が、EC全盛の時代にあって実体を伴う店だと思う。〈ビュリー〉の店はまさに魔法にかかる場所であり、自分をいつくしみたくなる場所だ。
美容には、効果効能だけでなく、自分をいつくしむ気持ちも大切だろう。そのためにはある種の魔法の力も必要だ。その魔法にかかる場所が、EC全盛の時代にあって実体を伴う店だと思う。〈ビュリー〉の店はまさに魔法にかかる場所であり、自分をいつくしみたくなる場所だ。

オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー 青山骨董通り店
東京都港区南青山5丁目11-5 住友南青山ビル1F。11時〜20時。入り口上部に掲げられた〈ビュリー〉の定番ハンドクリームをかたどった照明が目印。 TEL 03 6712 5455 。
