〈ジル サンダー〉を蘇らせた夫妻による『A magazine』。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

〈ジル サンダー〉を蘇らせた夫妻による『A magazine』。

『カーサ ブルータス』2020年7・8月号より

『A magazine』最新号のゲストキュレーターを務めたメイヤー夫妻。彼らのインスピレーションソースが詰まった本について聞いた。

ケルシー・ルーをモデルにした〈ジル サンダー〉のストーリー。
ジャスコ・バルトーリが撮影したロックダウン下のパリの風景。
ジョン・ポーソンが自ら撮影したドイツの教会。ポーソンは「SPIRITUAL SITES」として、コンセプトのコンテクストを示す重要な場所を撮影した。
旬のファッションデザイナーが一冊をキュレーションする『A magazine』。最新号のゲストキュレーターを務めたのは〈ジル サンダー〉のルーシー&ルーク・メイヤー夫妻だ。

Q 「HUMAN NATURE(人間性)/MOTHER NATURE(自然)」をテーマにしたのは?

ルーシー・メイヤー(以下、ルーシー) 公私において、自然は私たちにとって大切なインスピレーションソースです。自然が人間に与える影響はとてつもなく大きい。

ルーク・メイヤー(以下、ルーク) 人間というのも、僕らのデザインにおける重要な要素です。人の創作、そしてそれが他の人の創作に与える影響、こうした創作上のダイナミズムは興味深い。

Q 表紙は和紙作品の3Dスキャンですね。

ルーク 表紙は雑誌全体のコンセプトを表します。花々を封じ込めた和紙は自然からの恩恵であって、僕たちには作れないものです。

ルーシー クラフトの要素もこの雑誌のテーマの一つで、クラフトとテクノロジー両方の重要性を示すものでもあります。

Q 日本のクラフトの魅力とは?

ルーシー 日本のクラフトは、自然の美しさと素材の性質を生かしています。和紙はもちろん、陶芸やガラス製品も好きですよ。

ルーク 日本では高いレベルのクラフトが守られていると思います。ものの本当の良さを理解するには時間が必要で、世代間で引き継がれる知識や技術は学ばなければわからないものもあります。真のラグジュアリーや技術は、時間をかけて育まれてゆくものです。
ジョージ・ナカシマのニューホープにあるアトリエ。娘ミラのインタビューも掲載。
陶芸家マルグリット・リンケの作品。
Q 雑誌には、ジョン・ポーソン、ミラ・ナカシマ、マルグリット・リンケなども登場します。

ルーク ジョンは写真もうまくて、彼の自然や自然素材の受け止め方、建築の捉え方を、彼の写真を通してシェアしたくて撮影をお願いしました。マルグリットは、とても美しい陶芸作品を作ります。すべてハンドメイドなのですが完璧に仕上がっているところに惹かれますね。ミラ・ナカシマはジョージ・ナカシマの娘です。ナカシマのまず初めに素材ありきで、そこから何を作れるかを考える日本的なアプローチは興味深い。自然を尊重した上で、人間が何かを加えるというのは、この雑誌のコンセプトにもつながります。

Q 今、気になる作家は?

ルーク たくさんいますよ。まずドナルド・ジャッド。彼は、どこにでもある素材を使って、純粋な形を作り出す。森山大道も好きですね。夢見がちでもコンセプチュアルでもない、リアルで誠実なものに惹かれます。デザインでも重要なのは、本当に必要なもの、ピュアな要素を捉えることなのです。
Lucie and Luke Meier
ルーシーは〈ディオール〉等を、ルークは〈シュプリーム〉を経て、〈OAMC〉を共同設立。2017年〈ジル サンダー〉共同クリエイティブディレクターに就任。
photo_Peter Lindbergh

『A Magazine Curated By』21号

表紙は能登半島に3代続く製紙業者が手作りした、花を漉いた和紙を3Dスキャンで再現。中面にはイタリア製〈Lenza〉の再生紙を用い、オフセット印刷を施した。2,500円。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます