あの人のうつわとレシピ|伊藤徹也|高島大樹の黒いうつわと麻婆豆腐。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

あの人のうつわとレシピ|伊藤徹也|高島大樹の黒いうつわと麻婆豆腐。

『カーサ ブルータス』2020年5月号より本誌

料理家や料理上手のクリエイターが大切にしているうつわ。そんなとっておきの一枚に合うとっておきの料理を、フォトグラファーの伊藤徹也さんに教えてもらいました。

コントラストが映える黒いうつわで と“飲む麻婆豆腐” を美しく引き立てる。

黒釉の輪花皿 撮影で訪れた広島・宮島のショップで偶然出会い一目惚れした一枚。撮影日翌日の展示会に朝から並んで買ったという。花の形をした “輪花皿” は、陶芸家・高島大樹の人気作品。さまざまなサイズがあるが、9寸(直径28.5cm)の黒釉を選んだのは一枚で存在感があり、自作の麻婆豆腐を盛ってみたいと思ったから。
黒釉の輪花皿は料理を引き立ててくれる逸品。
すり鉢状で汁気のある料理にも使いやすい。
旅情溢れる風景写真から人物、はたまた動物写真まで、幅広いジャンルで活躍する伊藤徹也さんは、仕事を通じて国内外を飛び回るうち、いつしかうつわ好きになった。

「旅先で買うことが多く、使うたびにその場所や出会った人のことを思い出す。日常の中で、思い出に触れられるのが楽しい」

ふだんから料理が好きだという伊藤さんが最近特にハマっているのが “飲む麻婆豆腐” 。7年ほど前に料理雑誌で見たレシピがきっかけだった。以来、自家製紅油を加えるなど自身で改良を重ね、辛みの中に旨みがしっかりとある理想の味にたどり着いた。合わせるうつわは奈良県在住の作家、高島大樹の黒い輪花皿。黒を使いたくなるのは、自分が料理の専門家ではないからこそ、と言う。
「ストレス発散には料理がいい!」と伊藤さん。
ひき肉のダマが好きなのであまりかき回さない。
「白いうつわって素人には難易度が高い。おいしそうに見えるうつわを探した答えが黒だった」

まずどんな料理に合うかを考えてからうつわを選ぶという伊藤さん。けれども料理家の視点というよりは、完全に写真家のそれ。

「どうしても料理を盛ったときの絵を一番にイメージしちゃいます。補色やコントラストはどうかと考えたり……。職業病ですね(笑)」
材料(2人分)
絹ごし豆腐…1丁
豚ひき肉…100g
豆板醤…小さじ1
自家製紅油…大さじ3
紹興酒漬けの豆鼓…大さじ1
にんにく…1かけ
にんにくの芽…2本
長ねぎ…10cm
鶏ガラスープの素…大さじ1
湯…120ml
にんにくを漬け込んだ醤油…大さじ1.5
水溶き片栗粉…大さじ2(片栗粉と水は1:1.5)
ホールの花山椒…適量
太白ごま油…大さじ2
粉末赤唐辛子…大さじ1

1 中華鍋に太白ごま油を熱し、豚ひき肉を焦げ目がつくまで弱火で炒める。ひき肉の油が透明になってきたら中火に。
2 豆板醤、紅油大さじ1、豆鼓、にんにく、粉末赤唐辛子、お好みで鷹の爪を入れ、弱火でじっくり炒める。
3 香りが立ったら鶏ガラスープの素と湯を入れ、2cm角にした豆腐を煮込む。
4 醤油を入れ、水溶き片栗粉でとろみをつけたら、長ねぎを散らし残りの紅油を入れ一気に強火に。1分弱、鍋底を揺する。
5 火を止める前に2cmに切ったにんにくの芽を入れ、花山椒を散らす。
上/福岡・うきはにある日月窯、福村龍太の作品。鉱物を混ぜた釉薬で金属のような質感のプレート。「油で表情が変わっていくのが好き」。φ27.5cm。中/撮影で訪れた茨城・笠間で見つけたうつわは鈴木美汐のもの。その後、作家本人と交流するように。φ24.5cm。下/大分の木工作家、運天達也の木のうつわ。かつて児童養護施設で働き、いろいろな子どもたちと触れる中で、うつわにも個性があっていいと普段なら使われないような木材を使用。欠けや歪みも味わいに。φ17.5cm。

伊藤徹也

いとうてつや 東京都生まれ。旅、ポートレート、ランドスケープ、建築、インテリア、料理など幅広いジャンルで活躍。最近の撮影書籍に『受け継ぎたいレセピ』(野村絋子著・誠文堂新光社)。旅先では作家との出会いがなによりも楽しみ。その後も交流が続き、ここ10年ほどでうつわの量が劇的に増えた。酒と旅を心から愛する。

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