バウハウスの歴史を明日へ繋ぐ、新名所〈バウハウス・ミュージアム・デッサウ〉。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

バウハウスの歴史を明日へ繋ぐ、新名所〈バウハウス・ミュージアム・デッサウ〉。

昨年、創立100周年を迎えたドイツの伝説的な芸術・建築学校バウハウス。それに合わせてデッサウにオープンした〈バウハウス・ミュージアム・デッサウ〉は、時間を忘れるほど没頭できる展示が人気を集めている。

デッサウ駅からほど近い一等地にオープンした〈バウハウス・ミュージアム・デッサウ〉。 copyright_Foundation Bauhaus Dessau , photo_Thomas Meyer / OSTKREUZ
2019年はバウハウスが設立されてから100年のアニバーサリーイヤーだったのはご存知のとおり。そのため世界各地でバウハウス関連の展覧会やイベントが行われたが、中でも9月にオープンしたデッサウの〈バウハウス・ミュージアム・デッサウ〉は好評価を得ている。

デッサウは、設立の地ワイマールで当時台頭してきたドイツ人民党に疎まれたバウハウスが移転した2番目の拠点。バウハウスを率いたヴァルター・グロピウスがデッサウを選んだおそらく1番の理由は、ここが当時、ヨーロッパで最大級の航空機製造会社ユンカースがあるなど工業都市として栄えていたためだ。実際、移転に当たってはユンカース社から資金援助を受け、またバウハウスで生み出した作品を世に売り出すためには製造を請け負う企業と近しくなる必要があった。工芸学校や美術学校の色彩がまだ強かったワイマール時代から、近代化、工業化へとバウハウスがはっきりと舵をとった証左でもある。

その後、バウハウスは再び第3の拠点ベルリンへの移転を余儀なくされるが、それまでのおよそ7年間、デッサウで活動を続け、ここを拠点に世界各地でバウハウス展を行うなど、建築・デザイン界への影響力を強めていった。
ミュージアムの外観。目抜き通りに面しており、目の前をトラムが走る。 copyright_Foundation Bauhaus Dessau , photo_Thomas Meyer / OSTKREUZ
この建物のために制作されたルーシー・ラーヴェンによるアートワーク《Lichtspielhaus》(2019年)が、ガラスを通して差し込む外光に映える。 copyright_Foundation Bauhaus Dessau , photo_Thomas Meyer / OSTKREUZ
〈バウハウス・ミュージアム・デッサウ〉は、この7年間を中心にした膨大なコレクションを展示している。言わばそのアイデンティティを確立した時代の作品の数々——教授や生徒のドローイングから、数々の出版物、椅子・ランプなど工業製品、集合住宅などの設計図・模型まで——は、バウハウスを知る上でどれも見逃せないものだ。展示の仕方にも工夫があり、巨大な家具のような展示什器にはいくつもの引き出しがあり、設計図やあるいはテキスタイル作品などが収められ、興味のままに開けては新たな発見ができるようになっている。また、立体作品や実験的な作品はレプリカが制作され、実際に触り確かめてみることができる。こうしたインタラクティブな展示は、観覧者が能動的に作品に関わることで、より深くバウハウスを理解することが狙いだ。さらにはバウハウスの教育内容を地域の学校で再現した際の子供たちの作品展示などもあり、その今日的な意味にも視野が及んでいる。

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