DESIGN
現代に蘇る、ポール・ケアホルム幻の名作。
April 5, 2020 | Design | casabrutus.com | text_Hisashi Ikai editor_Keiko Kusano
デンマークデザインの黄金期を支えたポール・ケアホルム。彼が残したデザインから、これまで製品化されていなかった3作が数量限定で特別復刻された。
20世紀半ばのデンマーク。ハンス・J・ウェグナー、ボーエ・モーエンセンといった、現代にも名を轟かせる天才たちがそれぞれの才能を開花させた時代において、彼らから少し年の離れたポール・ケアホルムは、より広い視野で近代デザインのあり方を捉えたデザイナーだったと言えるだろう。
ケアホルムは、家具職人としての素養を持ちながらも木工だけに執着せず、これからの世界を見据えてスチールやアルミニウムといった新素材を用いた工業的なアプローチにいち早く取り組んだデザイナーだった。無駄のないライン、使い勝手の良さといった北欧デザインの特徴はそのままに、彼のデザインはとても繊細で上品であり、かつ潔さと新鮮さを感じさせてくれる。
51歳で早世と非常に短い人生のなかで、50点以上の家具をデザインしたケアホルムだが、そのなかには生産が続かなかった名作も多い。その未発売の作品からこのたび《アルミチェア》、ダイニングチェア《PK12》、そしてダイニングテーブル《PK50》の3作品が日本で初披露される。
ケアホルムは、家具職人としての素養を持ちながらも木工だけに執着せず、これからの世界を見据えてスチールやアルミニウムといった新素材を用いた工業的なアプローチにいち早く取り組んだデザイナーだった。無駄のないライン、使い勝手の良さといった北欧デザインの特徴はそのままに、彼のデザインはとても繊細で上品であり、かつ潔さと新鮮さを感じさせてくれる。
51歳で早世と非常に短い人生のなかで、50点以上の家具をデザインしたケアホルムだが、そのなかには生産が続かなかった名作も多い。その未発売の作品からこのたび《アルミチェア》、ダイニングチェア《PK12》、そしてダイニングテーブル《PK50》の3作品が日本で初披露される。
《アルミチェア》は、薄いアルミニウムを座面に用い、複雑に成型することで強度を維持した作品。成型したシーティングに3本脚を合わせる形は、後にフリッツハンセンから製品化される《PK9》へと発展したと言われている。
《PK12》は、1959年にデザインした曲げ木の椅子の素材をスチールに転換。強度のある素材に変更したことで部材を最小限に抑え、すっきりとしたデザインにまとめている。そして、《PK50》は、木組み構造をそのまま天板のデザインで表したシンプルなダイニングテーブルだ。
この3つの作品はポール・ケアホルムの遺志を受け継いだ家族が、2007年アメリカのデザインギャラリーと協働し限定復刻したもの。〈ダンスク ムーベル ギャラリー〉でのお披露目が国内では最初で最後の公開予定なので、ぜひとも一度足を運んでほしい。
『ポール・ケアホルムが残した名作』
〈ダンスク ムーベル ギャラリー〉東京都中央区銀座1-9-6 松岡第二銀緑館2F。 6月6日 〜6月30日。12時〜19時。水曜休。入場無料。TEL 03 6263 0675。
ポール・ケアホルム
1929年、デンマーク生まれ。10代で家具職人に弟子入り。ハンス・J・ウェグナーの事務所で働きながら、コペンハーゲン工芸学校に学ぶ。1952年に卒業作として制作した椅子(後の〈PK25〉)を発表。E. コルト・クリステンセン社を中心に、金属と自然素材を組み合わせたミニマルで革新的な作品を多数発表する。1980年、51歳で逝去。