サポーズデザインオフィスが考える自由なキッチンとは。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

サポーズデザインオフィスが考える自由なキッチンとは。

2018年の出展でアジア企業として初めて「ミラノサローネ・アワード」を受賞した〈サンワカンパニー〉。今年は出展会場を新たに、空間提案に力をいれたキッチンを発表する。デザイナーの一組として出展するのは、サポーズデザインオフィスだ。

今年のミラノサローネ国際家具見本市にて、〈サンワカンパニー〉から新たなコンパクトキッチンを発表するサポーズデザインオフィスの谷尻誠、吉田愛。広島と東京に拠点をもち、住宅、商業空間、会場構成、ランドスケープ、プロダクト、インスタレーションなど国内外で幅広い分野のプロジェクトを多数手がける。近年は〈社食堂〉のほか〈絶景不動産〉〈21世紀工務店〉といった多分野で開業し、活躍の場を拡げている。
毎年4月にイタリア・ミラノで開催される『ミラノサローネ国際家具見本市(以下ミラノサローネ)』は、世界各地から家具メーカーなどが集う世界最大規模の国際家具見本市。今年は6月16日から21日の5日間にわたって開催予定だ。

住宅設備機器や建築資材をインターネット販売する〈サンワカンパニー〉は2015年よりミラノサローネに参加をはじめ、2016年からはキッチンに特化した隔年開催の〈ユーロクチーナ〉に出展している。2018年には世界的に狭小化する住空間への新たな提案として8つのコンパクトキッチンを発表し、アジア企業として初めて「ミラノサローネ・アワード」を受賞するに至った。

そんな〈サンワカンパニー〉は今年、2019年に登場した新たなホール〈S.Project〉に出展する。3組のデザイナーを招いて発表する展示テーマは「Diverse Life With Compact」。多様化するライフスタイルに向けてコンパクトキッチンを提案するのは、建築家・アートディレクターのキッコ・ベステッティ、デザイナーのクリスチャン・ハース、そして谷尻誠と吉田愛が率いる設計事務所、サポーズデザインオフィスだ。
今回発表するキッチンのイメージは「ギャラリーのような佇まい」と吉田。写真はサポーズデザインオフィスが設計した世田谷の住宅街に立つ植物屋〈叢〉。
古い住宅をリノベーションし、ギャラリーのような空間に多肉植物が並ぶ。
今回発表するキッチンのイメージは「ギャラリーのような佇まい」と吉田。写真はサポーズデザインオフィスが設計した世田谷の住宅街に立つ植物屋〈叢〉。
古い住宅をリノベーションし、ギャラリーのような空間に多肉植物が並ぶ。
これまで以上に、キッチンを含めた幅広い住空間の提案を行いたいと意気込む〈サンワカンパニー〉。同社がこれまでに発表してきたデザイナーズキッチンはすべてヨーロッパ圏のデザイナーを起用したもの。今回はより多様性を謳おうと、初めて日本からデザイナーを起用した。サポーズデザインオフィスを選んだのは、デザインや設計の力に加え、なによりも多様な人々を巻き込む力があることが理由だと言う。

サポーズデザインオフィスはこれまで、数回にわたってミラノデザインウィークに出展する企業のインスタレーションなどを手掛けてきた。その出展を通じて海外メディアに注目され、国外のクライアントも増えてきたところだと谷尻は言う。

「出展のたびにミラノはデザインが根付いた街だと実感します。デザインが文化として根付いているから、子どもやお年寄りまで幅広く見てくれるし、僕たちのコンセプトをじっくり聞いてくれます。そうした体験は、あらためて僕らのテーマである“デザインをどれだけ伝えられるか”を考えるきっかけも与えてくれるものなんです」
キッチンそのものを新たに考えたと、ミラノへの意気込みを話す谷尻。
今回の依頼に対し、「建築以外のプロダクトには常に興味があり、〈サンワカンパニー〉とは緻密なプロダクト開発ができると感じました」と谷尻は続ける。はたして彼らが考えるコンパクトキッチンとはどのようなものなのだろう。

「狭小空間のためのコンパクトキッチンというと、機能に特化した提案になりがちではないですか?」と吉田は切り出す。

「私たちはいつも形から発想するのではなく、行為から発想することを大切にしています。今回もキッチンそのものを考えるのではなく、あらためてキッチンのある空間の価値を考えることから始めました。たとえば住宅とオフィスにあるキッチン、これらはなんとなく住宅用、オフィス用とひと目でわかることが多いですよね。場所に定義される設えを排除し、もっと自由に空間を利用できるキッチンを提案したいんです。さらにいえば……いま私たちはキッチンではなく水を使う場所としてアイデアを考えています」

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