古今東西 かしゆか商店【有松絞りの手拭い】 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【有松絞りの手拭い】

『カーサ ブルータス』2020年1月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回の目的地は愛知県の有松。江戸時代の趣が残る町を訪ね、熟練の指先からつくり出される美しい絞り染めと出会った。

江戸時代に尾張藩下で栄えた有松絞り。「筋絞りや鹿の子絞り。絞りにもいろいろあるんですね」とかしゆか店主。当時の建物も残る〈竹田嘉兵衛商店〉で。
かしゆか商店を始めてから思うのは、「こんなに美しい手仕事を、なぜ今まで知らなかったんだろう」ということです。今回出会った有松絞りは、愛知県の有松で約410年続いてきた絞り染め。絞り自体は世界中にありますが、模様や技法の多さは有松が世界一。今も江戸時代の建築が多く残るこの町は、絞りの聖地と呼ばれています。
Buying No.22 TIE-DYE【 有松絞りの手拭い 】 絞ってくくって染める指先が生む伝統美。手筋鎧段絞り、鎧段絞り、手蜘蛛絞り。
「参勤交代で東海道を通る大名が、有松絞りの手拭いや浴衣を土産にしたことから全国に広まったんです。その人気は北斎や広重の浮世絵に描かれたほどでした」

と話すのは、17世紀初めに創業した〈竹田嘉兵衛商店〉の竹田昌弘さんです。有松絞りの特徴は、生地にシワやヒダを寄せ、糸で絞ったりくくったりしてから染めること。この「絞り・くくり」が難しく、しかもバリエーションは60種類以上。ゆえに有松の職人は、一人が1種類の技だけを極める「一人一芸」を貫くそうです。
指先で生地をプリーツ状に畳んで筒にし、さらに糸を巻きつけ縄状にする。染めて広げると筋模様が現れる。
指先で生地をプリーツ状に畳んで筒にし、さらに糸を巻きつけ縄状にする。染めて広げると筋模様が現れる。
この日いらした松岡清子さんも、「竜巻絞り」という技を継承する伝統工芸士。有松で唯一というその技を見せてもらいました。

道具は60年以上使っているV字形のくくり台のみ。そこに掛けた反物を霧吹きで濡らし、親指と人差し指でプリーツ状に折り畳みながら、糸で巻き留めていきます。