DESIGN
デザインで巡るチェコ100年の旅へ|青野尚子の今週末見るべきアート
September 25, 2019 | Design, Art | casabrutus.com | photo_Shin-ichi Yokoyama text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
2018年、建国100年を迎えたチェコのデザインの1世紀をたどる展覧会が始まりました。〈チェコ国立プラハ工芸美術館〉の所蔵品を中心に、かわいいものからシャープなものまで、チェコ・デザインのさまざまな顔が楽しめます。
「チェコ・デザイン 100年の旅」の会場構成はおおむね年代順。1900年代のアール・ヌーヴォーから始まり、バウハウス的なモダニズム、戦後のチェコ版ミッドセンチュリー、ポストモダン、そして現在に至るまでを見せる。
いち早く産業革命が進んだ工業国チェコでは、機械化、工業化に伴ってデザインも他国に先駆けて進歩した。たとえば1910年代に発達したキュビスムのデザインは、他の国ではあまり見られないものだ。三角形のパネルを組み合わせたような椅子や陶器はピカソやブラックのキュビスム絵画とはまた違う、独特のデザイン感覚を見せる。
「形態は機能に従う」というミース・ファン・デル・ローエの理念に基づく機能主義は、1930年代にチェコでも隆盛を誇った。チェコの工場ではクロムメッキのパイプによる家具など、バウハウス・デザインやそれに倣った家具が製造されている。ごくシンプルな形に差し色が施されたティーセットやコーヒーセットは今見てもモダンだ。
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illustration Yoshifumi Takeda
青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
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