デザインで巡るチェコ100年の旅へ|青野尚子の今週末見るべきアート | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

デザインで巡るチェコ100年の旅へ|青野尚子の今週末見るべきアート

2018年、建国100年を迎えたチェコのデザインの1世紀をたどる展覧会が始まりました。〈チェコ国立プラハ工芸美術館〉の所蔵品を中心に、かわいいものからシャープなものまで、チェコ・デザインのさまざまな顔が楽しめます。

ヤロスラフ・フランチシェク・コフ、チェスカー・ズブロヨフカ社ストラコニツェ工場「チェゼタ・スクーター『501型』」。1957年から製造され、ブタを思わせる形から「ピッグ」の愛称で親しまれた。壁面左はイジー・ヒルマルによる映画ポスター「東京オリンピック」。市川崑監督の記録映画のもの。
ヤロスラフ・フランチシェク・コフ、チェスカー・ズブロヨフカ社ストラコニツェ工場「チェゼタ・スクーター『501型』」。1957年から製造され、ブタを思わせる形から「ピッグ」の愛称で親しまれた。壁面左はイジー・ヒルマルによる映画ポスター「東京オリンピック」。市川崑監督の記録映画のもの。
「チェコ・デザイン 100年の旅」の会場構成はおおむね年代順。1900年代のアール・ヌーヴォーから始まり、バウハウス的なモダニズム、戦後のチェコ版ミッドセンチュリー、ポストモダン、そして現在に至るまでを見せる。
キュビスムのデザインを集めたコーナー。中央はヴラスチラフ・ホフマンの椅子(建築家ヨゼフ・マジャトゥカ邸食堂用)。壁にはキュビスムのグラフィックデザインや建築の写真が並ぶ。キュビスムの家具は決して使い心地のいいものではなかったそう。
展示はアール・ヌーヴォーのエリアから始まる。中央はヤン・コチェラの肘掛椅子(国民劇場支配人室用)、背景はアルフォンス・ミュシャのポスター「ジスモンダ」など。植物などからインスピレーションを得た曲線が特徴だ。
キュビスムのデザインを集めたコーナー。中央はヴラスチラフ・ホフマンの椅子(建築家ヨゼフ・マジャトゥカ邸食堂用)。壁にはキュビスムのグラフィックデザインや建築の写真が並ぶ。キュビスムの家具は決して使い心地のいいものではなかったそう。
展示はアール・ヌーヴォーのエリアから始まる。中央はヤン・コチェラの肘掛椅子(国民劇場支配人室用)、背景はアルフォンス・ミュシャのポスター「ジスモンダ」など。植物などからインスピレーションを得た曲線が特徴だ。
いち早く産業革命が進んだ工業国チェコでは、機械化、工業化に伴ってデザインも他国に先駆けて進歩した。たとえば1910年代に発達したキュビスムのデザインは、他の国ではあまり見られないものだ。三角形のパネルを組み合わせたような椅子や陶器はピカソやブラックのキュビスム絵画とはまた違う、独特のデザイン感覚を見せる。
左のオレンジの椅子はラジスラフ・ジャークとアントニーン・キバルによる肘掛椅子《シエスタ》、右の円形の家具はアンドレ・エンデレ、ヒネク・ゴットヴァルト社の配膳台。安くて手入れも簡単なクロムメッキのパイプを使った家具は1930年代に流行した。
ヘレナ・ヨーノヴァー、陶器製造組合の食器。この頃、機能的で衛生的な暮らしを目指す「美しい部屋」という組織による啓蒙活動が起こり、シンプルでさまざまに使える食器が人気となる。
左のオレンジの椅子はラジスラフ・ジャークとアントニーン・キバルによる肘掛椅子《シエスタ》、右の円形の家具はアンドレ・エンデレ、ヒネク・ゴットヴァルト社の配膳台。安くて手入れも簡単なクロムメッキのパイプを使った家具は1930年代に流行した。
ヘレナ・ヨーノヴァー、陶器製造組合の食器。この頃、機能的で衛生的な暮らしを目指す「美しい部屋」という組織による啓蒙活動が起こり、シンプルでさまざまに使える食器が人気となる。
「形態は機能に従う」というミース・ファン・デル・ローエの理念に基づく機能主義は、1930年代にチェコでも隆盛を誇った。チェコの工場ではクロムメッキのパイプによる家具など、バウハウス・デザインやそれに倣った家具が製造されている。ごくシンプルな形に差し色が施されたティーセットやコーヒーセットは今見てもモダンだ。