生粋のコレクターが語るカイ・フランクの魅力とは。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

生粋のコレクターが語るカイ・フランクの魅力とは。

『カーサ ブルータス』2019年10月号より

フィンランドデザインの巨匠の個展が国内初開催!多くの作品を出品した人物に、展示の見所を聞きました。

タウノ・タルナ  1944年生まれ。学生時代にカイの下で学び、Sarvis社のデザイナーとして活躍。カイ現役最後のシリーズを共に手がけた。
フィンランドデザインのレジェンド、カイ・フランク(1911〜89)の展覧会が9月21日より〈神奈川県立近代美術館 葉山〉で開催される。

カイは1950年代初頭のデザイン黎明期に、それまでのテーブルウェアの概念を覆し、安価で誰もが生活に取り入れられる、機能的で利便性の高いシリーズを生み出した。〈アラビア〉から発表された《キルタ》や《ティーマ》はいまだに食器デザインの原型と評され、ガラスウェアの《カルティオ》は日本でもおなじみだろう。

タウノ・タルナ氏は、昨年フィンランドガラス博物館で開催された『KAJ FRANCK & GEOMETRIA』展を企画・監修した人物であり、今回の展示にも約250点のコレクションを提供する生粋のコレクターだ。カイ・フランクを誰よりも知る有識者として、数々の文献提供や監修を行っている同氏に、展示の見所について語ってもらった。
《リング・プレート》:1960年代 色ガラスを何層にも重ねつつも表面は至ってフラットな触感になるという技術を生み出した。〈ヌータヤルヴィ〉時代に数多くのバージョンを制作しているが、こちらは裏面にカイ自身がサインした珍しいもの。
《KF486》ゴブレット:1968-71年 すべてマウスブローで作られ、上のカップは型に吹き込み、下部のステムは型を使わずに作られた。素材と形状への探究心を感じる作品。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
《クレムリン・ベル KF500/1500》:1957-68年 上部にはウォッカを入れ、下部はチェイサー用の水差しとして作られた。単独で別々に使用可。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
《リング・プレート》:1960年代 色ガラスを何層にも重ねつつも表面は至ってフラットな触感になるという技術を生み出した。〈ヌータヤルヴィ〉時代に数多くのバージョンを制作しているが、こちらは裏面にカイ自身がサインした珍しいもの。
《KF486》ゴブレット:1968-71年 すべてマウスブローで作られ、上のカップは型に吹き込み、下部のステムは型を使わずに作られた。素材と形状への探究心を感じる作品。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
《クレムリン・ベル KF500/1500》:1957-68年 上部にはウォッカを入れ、下部はチェイサー用の水差しとして作られた。単独で別々に使用可。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
「今回の日本の展覧会は、幾何学をデザインの主軸に置き、生涯現役を貫いたカイの造形美とその眼差しに迫る内容です。カイはガラス素材を熟知したスペシャリストとして、数多くの素晴らしいアートピースを残しました。でも今回の展示は、陶器やガラス作品のなかでも特に普遍的な丸、三角、四角といった幾何学の形状に焦点をあてた量産品が中心になります。カイを知るための、いわば始まりの一歩です」

カイは日本をたびたび訪問しては、当時まだ学生だったタウノ氏に日本文化の素晴らしさを説いてくれた。民藝や荒物など、大衆に想いを寄せた視点から生まれた品々とその作法は、カイのデザインの根幹と相通じるのだという。

「どれも一見シンプルなデザインですが、その背景にデザイナーのエゴが全く見えてこない。そこにカイの人柄と凄さが表れています。日本文化から受けた影響も感じられるかもしれませんね。使う人に想いを寄せたデザインというものが何であるか、その本質となる部分を日本のみなさんにも感じてもらえたらうれしいです」
《エッグ》:1955年 まるで恐竜の卵のような作品。《ソープバブルKF113》という作品から発展した。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
《2746》コップ:1954年 現在の《カルティオ》シリーズの原型。品番5023、2744など微妙に異なる形状のグラスもあり、形状を究めようとしていた跡が窺える。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
《ソルト・シェーカー》:1951年 〈アラビア〉時代、《キルタ》と同時期に作られた塩コショウ入れ。色によって釉薬が微妙に異なっているのが面白い。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
《エッグ》:1955年 まるで恐竜の卵のような作品。《ソープバブルKF113》という作品から発展した。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
《2746》コップ:1954年 現在の《カルティオ》シリーズの原型。品番5023、2744など微妙に異なる形状のグラスもあり、形状を究めようとしていた跡が窺える。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
《ソルト・シェーカー》:1951年 〈アラビア〉時代、《キルタ》と同時期に作られた塩コショウ入れ。色によって釉薬が微妙に異なっているのが面白い。タウノ&リーサ・タルナ・コレクション photo by ©Rauno Träskelin
北欧デザインといえばおなじみのカイだが、意外なことに自身の冠がつく美術館での展覧会は日本初! ぜひ葉山で体感しよう。

カイ・フランク 

〈神奈川県立近代美術館 葉山〉神奈川県三浦郡葉山町一色2208-1 TEL 046 875 2800。9月21日〜12月25日。9時30分〜17時(最終入館は16時30分まで)。月曜休(祝日除く)。入館料1,200円。