古今東西 かしゆか商店【線香花火】 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【線香花火】

『カーサ ブルータス』2019年9月号より

日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回の買い付けは、懐かしさに胸がキュンとする線香花火。天然の材料だけで花火を手づくりする福岡の工房を訪ねた。

福岡県みやま市で、日本の花火の伝統を守り続けている〈筒井時正玩具花火製造所〉。併設ショップでは、昔ふうに花火がバラ売りされている。「好きな花を1本ずつ選んで花束をつくっているみたい」と喜ぶかしゆか店主。
子どもの頃から花火と金魚すくいが大、大、大好き。大人になってからも祖母の家に帰省するたび花火に夢中になっていたほどです。

福岡県みやま市の〈筒井時正玩具花火製造所〉は、昭和4年創業。400年の歴史をもつ線香花火など、天然原料の火薬を使った美しい“火花”をつくり続けています。
Purchase No.18【 線香花火 】 儚いから美しい、夏を彩る手仕事の花火。
「線香花火の原型は、藁の先に火薬をつけただけの簡素なもの。江戸時代の女性が香炉に立て、火花を愛でていたそうです。姿が線香に似ていたことから線香花火と呼ばれ、やがて手に持って遊ぶようになりました」と、3代目の筒井良太さん。実は関東と関西で線香花火の形が違うのだと聞いてびっくり。原型に近いのは藁を使った西の線香花火ですが、今日は紙縒りを使った東の線香花火づくりを見学しました。
火薬を包む薄葉紙も工房で染める。
持ち手に藁の芯を使う「西の線香花火」。国内では筒井さんの工房のみが製造。
火薬を包む薄葉紙も工房で染める。
持ち手に藁の芯を使う「西の線香花火」。国内では筒井さんの工房のみが製造。
まずは火薬づくり。原料となる「硝石・硫黄・松煙」を配合し、福引のガラガラみたいな機械で半日ほど攪拌します。その火薬を、手染めした薄葉紙で包んでいく工程がまたすごい! 両手の指で細く硬く縒っていくのですが、あっという間にピンと伸びた針金のような紙縒りが現れます。紙の縒り方ひとつで、火花の美しさも玉のもちも違うそう。この繊細な技術が、「日本の花火は世界一」と言われる美しさを生むんですね。