DESIGN
古今東西 かしゆか商店【南部鉄器の鉄瓶】
KASHIYUKA’s Shop of Japanese Arts and Crafts
August 8, 2019 | Design, Travel | 『カーサ ブルータス』2019年8月号より | photo_Keisuke Fukamizu editor_Masae Wako hair & make-up_Masako Osuga
日常を少し贅沢にするもの。日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回は400年の歴史をもつ東北の工芸・南部鉄器を訪ねて岩手県の盛岡へ。鋳型から手づくりする美しい鉄瓶を探した。
どっしりとした頼もしさとモダンな美しさを併せ持ち、沸かしたお湯はまろやかで冷めにくい。鉄瓶は“日常を少し贅沢にする”道具の代表格だと思います。なかでも江戸初期に始まった岩手県盛岡の南部鉄器は、手仕事好きにとって憧れの存在。砂と粘土で鋳型をつくり、溶かした鉄を流し込んで成形する……という伝統的な技法を見てみたくて、130年続く南部鉄器の工房〈釜定〉を訪ねました。
「茶の湯に造詣の深い南部藩主が職人に茶釜をつくらせたのが南部鉄器の始まり。良質な鉄、鋳型をつくる砂、燃料の木炭という3つが豊富なことも好条件でした。その茶釜を小ぶりにして注ぎ口と鉉(つる)を付けたのが鉄瓶です」
そう話す〈釜定〉3代目・宮伸穂(みやのぶほ)さんの案内で工房へ。創業当時のままだという作業場では、鋳型づくりや鉄の熔解が行われ、壁も天井も煤(すす)で真っ黒です。驚いたのは、「基本的にひとつの型から一個の鉄瓶をつくる」こと。型自体が一個ずつ違うから、すべてが本当の一点もの。霰(あられ)と呼ばれるポツポツも、型の内側からひとつずつ手で押して付けているんです。
そう話す〈釜定〉3代目・宮伸穂(みやのぶほ)さんの案内で工房へ。創業当時のままだという作業場では、鋳型づくりや鉄の熔解が行われ、壁も天井も煤(すす)で真っ黒です。驚いたのは、「基本的にひとつの型から一個の鉄瓶をつくる」こと。型自体が一個ずつ違うから、すべてが本当の一点もの。霰(あられ)と呼ばれるポツポツも、型の内側からひとつずつ手で押して付けているんです。
また、ひとりの職人がすべての工程を担うのも〈釜定〉の特徴。
「分業のほうが効率はいいんです。でも一から十まで自分の手でつくるから面白い。キツイ仕事でも喜びがあれば職人は続けてくれる」と宮さん。その感覚、よくわかります。全部に関わるから技や美しさを極めていけるし、達成感や愛着も生まれるんですよね。
「分業のほうが効率はいいんです。でも一から十まで自分の手でつくるから面白い。キツイ仕事でも喜びがあれば職人は続けてくれる」と宮さん。その感覚、よくわかります。全部に関わるから技や美しさを極めていけるし、達成感や愛着も生まれるんですよね。
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