建築家のデザイン家具、60年の歴史を建築遺産博物館で堪能しよう! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

建築家のデザイン家具、60年の歴史を建築遺産博物館で堪能しよう!

1960年から現代まで、世界の著名建築家125人がデザインした選りすぐりの家具や照明など約300点を集めた大型展が〈シテ建築遺産博物館〉で開催中。

(c) Cité de l’architecture, Denys Vinson photographe 2019
建築家が建造物の完成のために家具をデザインして来た歴史はおよそ2世紀と言われる。近代ならバウハウスやアール・デコなど、多くの家具や装飾の職人たちとともに様々なスタイルを築いて来た。が、あえて今回、1960年以降の建築家の家具に着眼する理由は、これまでこの期間の世界の建築家の家具を総合的に展示する機会がほとんどなかったこと、さらに、世界各国の戦後の建築事情が異なる事情が背景にある。

大戦後のフランスは復興に追われ建築家は建設に没頭し、同時期のイタリアでは建築家は建設現場を追われ家具業界への進出を余儀なくされた(それが後のイタリアンデザインの隆盛を促す)。一方、アメリカは工業を発展させたニューディール政策を戦争産業から国内産業に転換し、建築家は創作の機会を広げた。こうした異なる事情を背景に再スタートし、迎えた1960年前後にフランク・ロイド・ライト、エーロ・サーリネン、ル・コルビュジェらが相継ぎ他界し、モダニズムの終焉を告げる。この時期を起点に現代まで続く建築家の創作を見晴らす視点が新しい。

建築家の家具やオブジェを、年代や地域でなく、技術の継承者、プロフェッショナル、デザインエディター、コミットメント、臨時デザイナーなど、テーマを設けて展示する展覧会のキュレーションは意欲的。展示会場も、フランスの教会や聖堂の宗教像や装飾の複製が並ぶ空間や、中世の教会壁画の複製が美しい壁など、〈シテ建築遺産博物館〉の特異な展示空間で鑑賞する面白さも。フランク・ゲーリー、ザハ・ハディド、ジャン・ヌーベルほか、現代の巨匠たちの構造哲学を偲ばせる作品も一挙に会す稀有の機会だ。
フランスの建築家でプロダクトデザイナーでもあるマーク・エルドによる椅子《キュルビュトとオットマン》。〈Knoll〉より、1967年。
Marc Held, fauteuil Culbuto et son repose-pieds, 1967, Knoll
(c) Knoll International.JPG
伝説のイタリアデザイナー集団「メンフィス」で活躍したミケーレ・デ・ルッキと、世代も異なるフランス人のデザイナーフィリップ・二グロとの異色の共同デザイン『スツールの柱 ビソンテ』は、イタリア映画『Fuori dal Mondo』のために作られたプライヴェートコレクション。2005年。
(c) Michele De Lucchi

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