古今東西 かしゆか商店【讃岐かがり手まり】 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

古今東西 かしゆか商店【讃岐かがり手まり】

『カーサ ブルータス』2019年6月号より

日常を少し贅沢にするもの、日本の風土が感じられるもの。そんな手仕事を探して全国を巡り続ける、店主・かしゆか。今回はかつて讃岐国と呼ばれた香川へ。美しい木綿糸から生まれる郷土玩具「讃岐かがり手まり」の工房を訪ねた。

江戸時代の庶民に愛された郷土玩具「讃岐かがり手まり」を継承する保存会へ。古い幼稚園を利用した香川県高松の工房では、木綿糸を草木染めする工程から行う。かしゆか店主の手には、白い糸だけを使った美しい手まり。
日本各地を旅するとつい探してしまうのが、張り子や土人形などの郷土玩具。特別な用途はなくても、目にするたびにうれしくなる「道具」や「機能美」とは違う形で日常を豊かにする存在です。
Buying No.15【 讃岐かがり手まり 】  草木染めの木綿糸でつくる かわいい郷土玩具。
今回の手まりもそのひとつ。ピンクにオレンジに茜色。初めて見た時、「かわいい……」しか言葉が出てこないほど見とれてしまいました。聞けば、手まりのルーツは平安時代の宮中でつくられたお姫様の玩具。かわいいはずですよね。やがて庶民にも広まって、かつて讃岐国と呼ばれた香川でも盛んにつくられていたそうです。そして、一度は途絶えかけた伝統を昭和50年代に復刻したのが「讃岐かがり手まり保存会」。
茜の根を煮出した液で糸を染色。
微妙な濃淡が揃う木綿糸。
茜の根を煮出した液で糸を染色。
微妙な濃淡が揃う木綿糸。
「“かがる”というのは、糸を引っ掛けてすくうという意味です」と話す代表の荒木永子さんを訪ね、手まり製作を見せていただきました。籾殻を薄紙で包んで球状の土台をつくったら、まずは模様のガイドとなる線を糸で付け、それを目安にかがっていく。材料は草木染めの木綿糸で、模様はすべて幾何学柄。昔ながらの方法をまじめに守り続けているんです。

模様となるモチーフは七宝や亀甲などの縁起柄から和の花までいろいろで、菊かがり、桜交差、星かさねといった素敵な名前がついています。また、木綿糸は天然の植物を使って自分たちで染色。藍色や茜色、紅花で染めるピンクなど優しい色ばかりです。