待望のTWAホテルがついにオープン! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

待望のTWAホテルがついにオープン!

『カーサ ブルータス』2019年5月号より

エーロ・サーリネンの名作〈TWAターミナル〉がなんとホテルとして蘇ります。その中身とは?

サーリネンによる未来的でアイコニックな姿は、空港建築のまさに白眉。巨匠建築家ロバート・A・M・スターンは「ジェット時代のグランドセントラル駅」と絶賛した。
建築家エーロ・サーリネンの代表作のひとつ、NY・JFK空港の〈TWAターミナル〉。この名建築に宿泊できる日が来るなんて!

翼を広げたカモメのような外観に、エレガントな流線型のメインターミナル。トランス・ワールド航空が〈TWAフライトセンター〉(正式名称)を完成したのは1962年のことだ。当時は若きカリスマ、ジョン・F・ケネディを大統領に迎え、アポロ計画も急速に進み、アメリカが希望に輝いていた時代である。人々が空の旅に抱いた憧れやロマン。同ターミナルはその象徴だった。
LOBBY & ENTRANCE TWAの制服はヴァレンティノやラルフ・ローレンといったデザイナーが手がけてきた。ホテルスタッフの制服は、オープン直前に発表される。ちなみにここは1ワールドトレードセンターに設立したラウンジ。
『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』はじめ数々の映画にも登場するNYのランドマーク、そしてジェット時代のアイコンでもあった〈TWAターミナル〉だが、会社買収により閉鎖されたのが2001年のこと。以来、取り壊しの危機や、有志による保存運動、有名ホテリエによる企画の打ち切りなど紆余曲折を経て、このたび待望の〈TWAホテル〉として一般に開かれる運びとなった。
LOUNGE マンハッタンの〈1ワールドトレードセンター〉の86階に作られた〈TWAラウンジ〉。ホテルのプロモーション用スポットだ。タイルの床は空港から運んできたサーリネンデザインのオリジナル。壁にはヴィンテージのTWA広告ポスターがズラリ、眼下には絶景が。
リノベーションを施したターミナルと、新たに作った客室部分が隣接する。客室には1950年代にウエスタン・エレクトリック社が製造したヴィンテージのダイヤル式黒電話が。もちろんプッシュ方式に替えてある。家具はミッドセンチュリーを代表するノル社の正規品だ。また、あちこちに用いられているクルミ材。なだらかな曲線を描く壁だとか、マティーニ・バー、バスルームのドアにもこのウッドが使われ、空間に温かみをもたらしている。オハイオ州で伐採したクルミの木を、アーミッシュの木工職人200名が5か月かけて製作したものだとか。
LOBBY & ENTRANCE かつてメインターミナルだった部分がロビーになる。自称「世界最大のホテルロビー」とか。長年、足を踏み入れることができなかった幻の空間だけにファンの喜びもひとしおだ。TWAで実際に使われた制服やアイテムなど2,000点を展示する〈TWA博物館〉も併設されるとか!
ホテル内レストランは6軒、バーが8軒。中でも注目は、カクテルラウンジ〈コニー〉。なんと、1950年代には大統領専用機にも使われた大型プロペラ旅客機《ロッキード・コンステレーション》を運び込み、ラウンジに改造したという。またNYを代表するシェフ、ジャン=ジョルジュ・ヴォンゲリヒテンは〈パリ・カフェ〉をオープン。チキン・シャンパーニュなど、かつてTWAが実際にサーブした優雅な機内食から着想した料理を提供する。
GUEST ROOM 客室は、世界で2番目に分厚いという窓ガラスで防音バッチリ。ノルの家具に囲まれて。レトロな黒電話がチャーミング。
GUEST ROOM かつて実際に機内で配られたアメニティ。バスルームの鏡はハリウッドスタイルの女優化粧ミラーだ。実はこれ、建築家フィリップ・ジョンソンが1959年に完成させた伝説のレストラン〈フォーシーズンズ〉にあった、パウダールームへのオマージュなのだとか。
GUEST ROOM ルームキーや紙ケースもこの通り。古き良き時代の航空券のよう? チェックアウト後もキープしたい!
GUEST ROOM 客室は、世界で2番目に分厚いという窓ガラスで防音バッチリ。ノルの家具に囲まれて。レトロな黒電話がチャーミング。
GUEST ROOM かつて実際に機内で配られたアメニティ。バスルームの鏡はハリウッドスタイルの女優化粧ミラーだ。実はこれ、建築家フィリップ・ジョンソンが1959年に完成させた伝説のレストラン〈フォーシーズンズ〉にあった、パウダールームへのオマージュなのだとか。
GUEST ROOM ルームキーや紙ケースもこの通り。古き良き時代の航空券のよう? チェックアウト後もキープしたい!
宿泊のほか、日中の短時間利用もいずれ可能になる予定。トランジットの合間に立ち寄ってシャワーを浴びたり、レトロモダンなカクテルを楽しんだり、防音ガラス窓越しに飛行機の離発着を眺めたりなんてことも? ちなみに随所に配された赤色は、サーリネンが作りだした通称「チリペッパー・レッド」。華麗でイマジネーション豊か、かつエレガントなTWAのイメージをレトロモダンな宿泊施設へと昇華させた、この〈TWAホテル〉。ミッドセンチュリーな夢に出会えそうだ。
ジェット時代幕開けのシンボルにして、貴重な文化財でもある。1994年にNYの歴史的建造物指定、2005年には国家歴史登録財に認定された。
エーロ・サーリネン。ターミナル完成の前年に、51歳の若さでこの世を去った。

TWA Hotel

予約はウェブサイトから。全512室、1泊249ドル〜。屋上プールや展望室も完備。意外にもJFK空港内のホテルはこれが史上初となる。5月15日にソフトオープンし、今秋から本格始動の予定だ。●John F. Kennedy Airport, Queens, NY