リスボンのレーベルから、心和らぐアンビエントの響き。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

リスボンのレーベルから、心和らぐアンビエントの響き。

『カーサ ブルータス』2018年6月号より

Chari Chariとしての活動も知られる井上薫がアンビエントかつバレアリックに特化した心地よい新作『Em Paz』を発表。

伝説のレコード店〈WAVE〉に勤務、ワールドミュージックのバイヤーをしていたことから、世界中の音楽に造詣の深い井上さん。「〈Melody As Truth〉からでているジョニー・ナッシュのレコードなども興味深い」
Q 『Em Paz』の冒頭では波の音。そしてアンビエントなシンセサイザー、ギターの響きが心地いい、穏やか楽曲が並んでいて。2000年代の Chari Chari名義での作品を思い出しました。
ルイさんは『Snaker 002』(13年)という、90年代の楽曲や未発表音源を集めたものを聴いたそうで。それをもとに「自由にやってください」というオファーがきた。それから改めて、自分が過去に作った曲、未使用音源を聴き直しながら作っていったんです。近年発表していたハウスやテクノは、音圧、低音のビット数など、細かな配慮が必要なんです。一方、新作のような作品は、そんなフォーマットの制約からは解放されるので、自由で、より作曲にフォーカスして作ることができたんです。

Q 過去のアーカイブは膨大だった?
雑誌『BRUTUS』の「みんなのヨガ」(05年)に封入された教則DVDの音楽を制作したんですが、そこで使ったタブラの音など。パーツを組み合わせた上に、新しくギターやシンセのフレーズを重ね、編集していきました。

Q 10代の頃、バンドでギターを弾いていたとうかがっています。新作は演奏に近い、フィジカルな作曲作業だったのでは?
そうですね、楽しかったかな。それから、最近またレコードを買い始めて。後輩のDJに誘われてレコ屋巡りをしていますね。

Q どんなレコードですか?
オランダの〈Music From Memory〉が発掘してリリースしているような再発もの。あと、イタリアの現代音楽はどれも凄く興味深い。おもしろいから、現地へ行こうか考えていたら、フィレンツェのレーベルから作品リリースのオファーがあって。Chari Chariの新作も作る予定なので、しばらく忙しいから、国内のレコード屋巡りで我慢しておかないと(笑)

井上薫

いのうえ・かおる 90年代からDJ活動を開始。Chari Chari名義で作品を発表。当初アナログのみで発売された新作『Em Paz』は、現在各ストリーミングサービスで聴けるほか、6月20日には日本盤CDの発売も決定。DJとして、5月26日には中目黒〈solfa〉にて『Forbidden Dance』に主演。