新作『ビガイルド』の撮影現場とは? 限定写真集から考える、ソフィア・コッポラのクリエイティビティー。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

新作『ビガイルド』の撮影現場とは? 限定写真集から考える、ソフィア・コッポラのクリエイティビティー。

新作『ビガイルド』で2017年カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したソフィア・コッポラ。その撮影現場の様子を伝える日本限定の写真集が完成。写真のセレクトなど編集を担当した林央子が、この本から見えてくるソフィアのクリエイティビティーについて語ります。

本作りは編集者・林央子と、ニューヨークにいるアートディレクターとの共同作業。林はソフィアの映画現場の空気を的確に伝えるために、「機材の写っているカットを多めに掲載したい」と編集意図を伝えたそう。
「細部にこだわるのが私よね」とソフィア。撮影現場ではすべてがソフィア色にそまっている。写真家アンドリューはリラックスした一瞬を捕獲する達人。
新作映画『ビガイルド』の中では生意気盛りで反抗的なティーンを演じるエル・ファニングも、舞台裏ではお茶目な振る舞い。ソフィアも大好きな一枚(左ページ)。

ソフィアの発案で動き始めた写真集の企画。

ソフィア・コッポラの新作映画『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』。この映画の上映と同時に、一冊の写真集が完成した。私が編集を担当した、日本限定のフォトブックだ。監督生活20年を記念して、ソフィア・コッポラの舞台裏写真集をつくりましょう、と長年の知己であるプロデューサー川﨑博子さんからお誘いをうけたのが2017年の10月頃。本作りはソフィアからの発案だ。写真家アンドリュー・ダーハムは、美大生時代にソフィアが短編映像を撮ったころからソフィアの現場写真を撮り続けているという。「彼はいつも、私の好きな写真を撮ってくれる人」「これは、ナイスメモリーがつまった本。アンドリューは素敵な瞬間を見逃さないで写真に撮ってくれるから、私は彼の写真を見るのが大好き」とソフィア。小さくて薄い本のなかには、20年のあいだのスペシャル・モーメントがきらめいている。
カメラ、携帯、コンピュータ。現代の機器と、役者や舞台装置が一緒に写っているところもこの本だからこそ出会える場面。
よい写真が撮れるたびに「いつか2人で本を出したいね」と話していたというソフィアとアンドリュー。このオフショットもふたりのお気に入りの一枚。

出会った頃から変わらないソフィアの映画への姿勢。

私がソフィア・コッポラと初めて会ったのは川崎クラブチッタで行われたX-girlのショー会場で。その、1994年秋の取材のときから「やりたいことがたくさんあって、一つに決められないんです」と彼女は話していた。2018年1月に来日した彼女は、日本のテレビ番組でも「映画が大好きなのは、写真や衣装、俳優との対話や物語を語る事など、好きなことがたくさん容れられる器だから」と語っていた。今後の活動を問われると「私らしい映画づくりを続けたい」「楽しみながら映画をつくっていたい」。一つに決めなくても良いし、世間に合わせなくても良い。クリエイティブに生きるスピリットを、彼女の発言に見つけることができる。
写真集の出版記念としてブックショップ〈ユトレヒト〉で開催される『Sofia’s Circle』展。小林エリカ、小池アイ子、田村友一郎、ミヤギフトシの4名が参加。この絵は小林エリカが展示のために描き下ろした作品。

〈ユトレヒト〉で写真集出版記念のイベントも開催。

写真集の制作と同時進行で私が企画した「Sofia’s Circle」展はソフィア映画の魅力を、アーティストと一緒に視覚化・言語化する試みだ。映画を観るという体験はしばしば、言葉にできない感情をもたらす。ソフィアの映画はとくにそれが顕著だと思う。アンドリュー・ダーハムのスペシャルな写真集の発売を機に、4人のアーティストに声をかけ、写真、文章や絵で寄稿してもらった作品を、白いハンカチの上に一色で刷り、冊子と合わせて販売する。このハンカチ文集は、東京を愛してやまないソフィアの世界にたいする、日本のアーティストによる応答が結実したもの。アンドリューがかつて撮ったソフィアのポートレート「Lost in Translation Award Season」も2点展示し、販売する。 

映画の撮影現場は、現れては消える別世界。この本にはそれが、永遠に息づいている。この写真集をみていると、いつのまにか、自分も映画の世界の住人のような気分になるだろう。

また、これまで語られてきたソフィア・コッポラ像に物足りなさを感じている人は、ハンカチ文集を通して、共感にとどまらない深い理解を。ソフィア・コッポラという存在をさまざまな角度から眺め、思考する入り口になるだろう。
『SET PICTURES Behind the Scenes with Sofia Coppola ソフィア・コッポラ監督20周年記念メモリアル・フォトブック』
ソフィア・コッポラの世界を築いてきた俳優たちとの制作時間を垣間みる、ハンディな写真集。ソフィアのカジュアルな私服姿や自撮りする役者たちなど、映画からは窺い知れない瞬間が満載。2,500円(DU BOOKS)

「SET PICTURES Behind the Scenes with Sofia Coppola」出版記念展/here and there bis 「Sofia’s Circle」

〈ユトレヒト〉

東京都渋谷区神宮前5-36-6-2C
TEL 03 6427 4041。12時〜20時。月休。2018年2月14日〜18日。
アンドリュー・ダーハムが、ソフィアの人生の転換期に撮影したポートレート2点と、日本人アーティスト4名がソフィアの世界観への応答として寄稿した作品を印刷したハンカチ(ミニ文集付き・企画編集:林央子)を販売。最終日18日17時からは、参加アーティストの田村友一郎とミヤギフトシ、企画者の林央子によるトークを開催する(30名限定、要予約)。

AIがあなたにおすすめ

※過去の記事も表示されます