歴史的名著『君たちはどう生きるか』はどう漫画化されたか。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

歴史的名著『君たちはどう生きるか』はどう漫画化されたか。

『カーサ ブルータス』2018年2月号より

戦前の1937年から80年間読み継がれてきた名著の漫画化が、今これほど愛される理由とは?

『君たちはどう生きるか』 右/漫画版、左/小説改訂版。中学生のコペル君のおじさんは、助言者として彼に伝えるべき事柄をノートに書き留めていた。おじさんの助言は、あえてテキストで掲載。各1,300円(マガジンハウス)。
発売からわずか3か月でベストセラーとなった『漫画 君たちはどう生きるか』。漫画家の羽賀翔一さんは原作にどうアプローチしていったのだろうか。

Q 原作を初めて読んだときの印象はいかがでした?
かなり教養的で硬いものを予想しつつ読んだのですが、キャラクターの立ち上げ方や、日常の中にある小さな出来事を掘ったり引いて見るという、視点の移動が肝という構造などは、おこがましいですけど、僕が描いてきたものと感性が近いなと感じました。
Q かなり読み込まれました?
初めは原作をもうちょっとアレンジしてやろうという気持ちがあったんですけど、原作の持っている太さや磁力が損なわれていくような気がして、漫画にしていく作業を通じてキャラクターを咀嚼していった感じです。読み返すたびに発見があるという持ち味を消さないように漫画にしていきました。

Q その作業で気づいたことは?
最初は、メンターとなる叔父を血縁関係のない見ず知らずのおじさんという設定で描いたんですが、おじさんって原作では、チラっとしか出てこないコペル君のお父さんから「あいつには立派になってほしい」という思いを託されている存在なんです。その背景は、この物語の大事なテーマとして流れているもので、バトンを渡されたおじさんは役割を持ってコペル君と対峙し、コペル君もきっとこれから誰かにバトンを渡していくんだろうという予感を読者に持たせることが肝だと思いました。