ヘルシンキの書店オーナーが描く、メランコリーな世界。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

ヘルシンキの書店オーナーが描く、メランコリーな世界。

浅草のギャラリー〈ギングリッチ〉で、7月1日からイアン・ブルジョーの個展が開催される。

《Travelling Man》(c) Ian Bourgeot 2017
飲んでいたコーヒーも画材に。

滲みやかすれのある黒い線と、それに混ざり合う鮮やかな赤。フィンランドの首都、ヘルシンキにある〈アルカディア・インターナショナル書店〉のオーナー、イアン・ブルジョーが描く絵は、どこか物憂げで、誰の心にもある寂しさや、切なさといった、言葉にできない感情に寄り添ってくれる。

独学で自分の絵のスタイルを築いたイアンは、日々、気の赴くままに筆をとり、人から貰ったインクや飲みかけのコーヒーを画材にして、自分のためだけに絵を描き続けてきた。

今回、浅草のギャラリー〈ギングリッチ〉で開催されるのは、そんなイアンの海外初となる個展だ。キュレーションは、グラフィックデザイナーの村手景子が務める。
《Antigua》(c) Ian Bourgeot 2017
《Fig tree and dog in the bright Helsinki sun》(c) Ian Bourgeot 2017
《Stool salvaged from the great fire》(c) Ian Bourgeot 2017
《The dinner party》(c) Ian Bourgeot 2017
《Antigua》(c) Ian Bourgeot 2017
《Fig tree and dog in the bright Helsinki sun》(c) Ian Bourgeot 2017
《Stool salvaged from the great fire》(c) Ian Bourgeot 2017
《The dinner party》(c) Ian Bourgeot 2017
物語を思い起こさせる、詩的なタイトル。

今展のためにイアンは、日本の画材を取り入れた約30点の新作を描き下ろした。印象的なオレンジは、日本の朱墨を用いたもの。他にも墨や白墨、日本製のインクの伝統色も使用している。

イアンの絵を楽しむもうひとつのポイントが、タイトルだ。《The birth of a city(街の誕生)》《Stool salvaged from the great fire(大火事から救い出されたスツール)》《Reticent man steadying his world(自分の世界にとどまる無口な男)》など、物語性のある言葉がタイトルとして綴られている。元々は語学学校の講師で、その後、本好きが高じて書店を開いたイアン。言葉選びは彼の表現のひとつでもある。
〈アルカディア・インターナショナル書店〉の店頭に立つ、イアン・ブルジョー。さまざまなジャンルの古書を扱う。毎週イベントも開催し、地域のサロン的空間になっている。