パンキッシュでありながらエレガント。加茂克也のヘッドピースをまとめた作品集|石田潤のIn The Mode | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

パンキッシュでありながらエレガント。加茂克也のヘッドピースをまとめた作品集|石田潤のIn The Mode

2020年に惜しくも逝去したヘアアーティスト、加茂克也さんのヘッドピース作品をまとめた『KAMO HEAD』。ファッションの文脈を離れ、浮き上がる加茂作品の造形美とは?

アトリエでヘッドピースを制作する加茂克也。
ファッション撮影はチームワークと言われるが、ファッションショーもまた然りだ。デザイナーのビジョンを完成させる、あるいはそれをさらに進化させるヘアやメイク、モデル、演出、音楽など複数のクリエイティビティが集結し実現するファッションショーは、上演時間約10分の総合芸術とも言えるかもしれない。

昨年2月にこの世を去った加茂克也さんは、デザイナーのビジョンをその一歩先へと進めることのできたヘアアーティストだった。紙や金属、はたまた古着に剥製と多彩な素材を用いて作るヘッドピースは、一眼見ただけで加茂さんだ! とわかるユニークなものばかりで、その才能を求めて、日本はもちろんカール・ラガーフェルドやハイダー・アッカーマンといった海外のデザイナーも加茂さんをショーのヘアに抜擢した。

逝去から1年経った今年2月、加茂さんがブランドのショーのために制作したヘッドピースをまとめた作品集が刊行された。タイトルは『KAMO HEAD』。加茂さんが所属していたモッズヘアから独立し、個人事務所を立ち上げた時に付けた事務所名でもある。
ジュンヤ・ワタナベ コム・デ・ギャルソン 2006年春夏コレクションのヘッドピース。テーマは「PAPER PUNK」。
ジュンヤ・ワタナベ コム・デ・ギャルソン 2012年春夏コレクションのヘッドピース。テーマは「FEATHER」。
アンダーカバー 2013年秋冬コレクションのヘッドピース。テーマは「RABBIT」。
アンダーカバー 2014年秋冬コレクションのヘッドピース。テーマは「CROWN」。
アンダーカバー 2015年春夏コレクションのヘッドピース。テーマは「FEATHER MASK」。
全296ページに及ぶ作品集には、加茂さんが初めてジュンヤ・ワタナベ コム・デ・ギャルソンのショーに参加した1997年春夏コレクションから、24年にわたってコラボレーションを続けたアンダーカバー、そして2019年に制作したアンリアレイジのショーのものまで、約220点のヘッドピースが収められている。撮影したのは加茂さんの長い友人でもある戎康友さんで、白い背景のもと、加茂さんが制作時に使用していた発泡スチロールのマネキンの頭部を用い、淡々とカメラに収めた。
モノクロで撮影を始め、途中でバランスを考えカラーを差し込んでいったという。写真はシャネル 2009年春夏コレクションのヘッドピース。テーマは「PAPER FLOWER」。
ジュンヤ・ワタナベ コム・デ・ギャルソン 2019年春夏コレクションのヘッドピース。テーマは「AFRICA」。
ジュンヤ・ワタナベ コム・デ・ギャルソン 2012年春夏コレクションのヘッドピース。テーマは「FUR」。
戎さんが加茂さんのヘッドピースを撮り始めたのは、2013年にラフォーレ原宿で加茂さんの展覧会が行われた時からだ。ブランドの所蔵となっていたヘッドピースが手元に戻り、せっかくの機会だからと撮影することになった。

「どれも加茂さんが時間と手間をかけて作り込んだものだから、ファッションの文脈と切り離して、純粋な造形物として見てほしいという気持ちが深まったんだと思います」と戎さんは振り返る。

同じライティングのもと、シンプルにモノクロで撮影したいという加茂さんの意思のもとで撮影は進んでいった。ブランドのショーのために作ったヘッドピースだが、それぞれに加茂さん独自のテーマがあり、「GARDEN」(ジュンヤ・ワタナベ コム・デ・ギャルソン 1997年秋冬)、「PATTI SMITH」(アンダーカバー 2004年秋冬)といったタイトルが作品集には付けられている。

「順番もレイアウトも書体も加茂さんがディレクションし、アートディレクター の黒田(益朗)さんが実現しました」

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