フランス人DJを魅了した邦楽レコードジャケットって。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

フランス人DJを魅了した邦楽レコードジャケットって。

邦楽はもちろん、日本の音楽市場に魅かれ、パリから東京へ移住してきたアリックスさん。収集品の中から選り好みのジャケットをセレクト。

海外の収集家も注目する小林泉美&フライング・ミミ・バンド『シーフライト』(78年)。
Q アリックスさんは、日本で80年代後半から制作されたハウスミュージックを掘り起こし、世界中のDJや好事家に知らせた張本人だと思っています。そもそも、日本の音楽との出会いはいつ?
僕は82年生まれで、子供のころから日本のアニメを見てゲームで遊んでいました。13歳のとき、アニメ『シティーハンター』(作/北条司)のサウンドトラックを買って聴いたのが最初。その後DJを始め、ヒップホップ、ハウスなどのレコードを探してプレイしていました。2005年に留学生として来日したとき、レコード屋さんの数や品揃え、クラブの雰囲気が気に入り、08年に移住して。確かに日本のハウスは大好きですが、実はその前にアニメやゲーム音楽で下地があったんですよね。

Q 70年代以降に発表された日本のポップスも集めていますよね。
日本語の歌詞の美しい言葉、響きも重要です。だから、理解したいから一生懸命勉強して。(笑)

Q 好きなシンガーは?
歌手というより、僕はシンガーソングライターで、楽器も演奏するミュージシャンを尊敬しています。まず、松任谷由実さんは荒井由実時代も含めて、声も言葉の響きも大好き。それからハイトーンボイスの吉田美奈子さん。

Q では、好きなジャケットは?
まずは小林泉美さん『シーフライト』。長年探し続けていたレコードで、最近ようやく入手しました。ギターのブレイクが気持ちいいジャズファンク「エンジェル・スカイ」や、浮遊感のある「ウィスパー・オブ・シェル」など、いい曲も多い。しかし、このジャケットはセクシーすぎる。(笑)

Q 『うる星やつら』の主題歌なども歌われていた方ですね。さらに『Dr.スランプ』の声優、小山茉美さんの作品も選ばれていますが。
「ラブソング」は、アンビエント的な趣があって異色な名曲。それに、声優としての知名度に頼らず、作品に合わせたジャケットにしているのがすごくクールですね。

Q 中原理恵さんも歌手としてはもちろん、80年代はコメディエンヌとして活躍された方です。
そうなんですか! それは知らなかった。それとは裏腹に『タッチ・ミー』は手に取った瞬間から妖艶な香りを感じました。「朝まで一緒に」はすごくセクシーなバラード。マーヴィン・ゲイ『レッツ・ゲット・イット・オン』の女性版といえるかもしれません。

Q 大貫妙子さん『サンシャワー』はレコードでも再発されましたね。
僕がどうしても欲しかったときはプレミアが付いていて、高い値段を払って買いました……。このセカンドアルバムは、アレンジがシンプルかつソウルフルで、大貫さんの声と言葉の美しさがダイレクトに伝わってくる。ジャケットも飾らないかわいさがあります。

Q 最後は五輪真弓さん。
日本に引っ越してきた直後に聴いた「東京」は、僕のサウンドトラックになりました。爽快で楽しい。ジャケットを見ているだけで、気分がよくなるんですよね。
(左上から時計回りに)
「ラブソング」を収録した小林茉美『VIVID』(85年)。
吉田美奈子『LET’S DO IT ‐愛は思うまま‐』(78年)。アリクシさんはタイトル曲を絶賛。
中原理恵『Touch Me』(78年)。筒美京平や山下達郎らが楽曲提供。
大貫妙子『SUNSHOWER』(77年)。メロウな名曲「都会」は今年7インチでも発表された。
「東京」を収録した五輪真弓『TODAY』(77年)。

Alixkun

フランス生まれ、現在は東京在住。相棒であるDJ/プロデューサーのブラウザとともに、80〜90年に、日本で制作されたハウスミュージックの楽曲をコンパイルした『Brawther & Alixkun Present ハウス Once Upon A Time In Japan…』が発売中。