VEHICLE
Chill CARS|若手開発者が手がけた、伝統や流行から自由なクルマ。
『カーサ ブルータス』2018年6月号より
May 23, 2018 | Vehicle | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijiro Ohara
人はときに20代にいい仕事を残す。マルセル・ブロイヤーが《ワシリーチェア》を制作したのは23歳。ゴダールが『勝手にしやがれ』を撮ったのは29歳のことだ。1981年発表の初代《ホンダ・シティ》の開発メンバーの平均年齢は27歳と発表された。
たしかに、同時代の他のクルマとは一線を画したモデルである。3380mmの短い全長に対して、昨今のSUV並みの全高1470mmの“トールボーイスタイル”は他に類がない。伝統にひきずられない、若さゆえの思いきりの良さだろうか。
短いノーズには大きく傾斜角がつけられていて、エンジンの存在感を否定するようなスタイルである。実際に排気量は1231㏄だ。クルマのパワー競争があった当時のトレンドに反抗しているようで、これも好感を持てる。
人が快適に乗れるようにと室内を広くすることを最優先。キャビンはとても大きいし、ボディパネルは平板に近い。タイヤも12インチと小径だ。しかし見た目に躍動感がある。タイヤの配置、ピラーの位置や角度が入念に計算されているからだろう。
同時代の欧州のコンパクトカーには《フィアット・パンダ》(80年発表)や《ルノー・5》(72年)など名車とされるモデルがあるが、《ホンダ・シティ》はアイデアでもデザインでも負けていない。
名作家具や名画と同じように、20代開発者の意気込みは傑作となって歴史に残っている。
短いノーズには大きく傾斜角がつけられていて、エンジンの存在感を否定するようなスタイルである。実際に排気量は1231㏄だ。クルマのパワー競争があった当時のトレンドに反抗しているようで、これも好感を持てる。
人が快適に乗れるようにと室内を広くすることを最優先。キャビンはとても大きいし、ボディパネルは平板に近い。タイヤも12インチと小径だ。しかし見た目に躍動感がある。タイヤの配置、ピラーの位置や角度が入念に計算されているからだろう。
同時代の欧州のコンパクトカーには《フィアット・パンダ》(80年発表)や《ルノー・5》(72年)など名車とされるモデルがあるが、《ホンダ・シティ》はアイデアでもデザインでも負けていない。
名作家具や名画と同じように、20代開発者の意気込みは傑作となって歴史に残っている。