VEHICLE
Chill CARS|ドアがなく、屋根は幌という斬新な軽トラック。
『カーサ ブルータス』2023年8月号より
July 9, 2023 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
ドアがない軽トラックがあると聞いて、にわかには信じられないかもしれない。
しかし、1970年に〈ホンダ〉が発売した《バモス》(正式な車名は《バモスホンダ》)には、金属製のドアや屋根は備わっておらず、雨風をしのぐためには幌を展開する必要があった。一方でシート後部には4名乗車でも200kgの荷物を積める荷台も持つ。つまり《バモスホンダ》はオープンカーの軽トラックとも言えた。
このような設計になった理由は、牧場や工場での作業、配達・警備など、頻繁に乗り降りが必要な業種に向けて開発されたためである。
外観も極めて特徴的だ。ボディサイド下部の波板のようなパネルや、後方に傾斜していく荷台の壁も、一般的な軽トラックとは大きく異なっていた。傾斜したフロントパネルに置かれたスペアタイヤも珍しい。四輪駆動車ではないが、様々な用途に応じられるよう、最低地上高は大きめに取られていた。当時のカタログでも「機動トラック」と謳われており、レジャー向けのクルマというイメージも打ち出していた。
そんな《バモスホンダ》だが、あまりに斬新すぎた開発思想ゆえに、2500台ほどで生産を終えてしまった。しかし、現在SUVで流行している防水性シートや、アースカラーの塗色などをすでに採用していたことに驚かされる。レジャー向け軽自動車が好調な今、《バモスホンダ》の先見性に思いを馳せるのも面白い。
このような設計になった理由は、牧場や工場での作業、配達・警備など、頻繁に乗り降りが必要な業種に向けて開発されたためである。
外観も極めて特徴的だ。ボディサイド下部の波板のようなパネルや、後方に傾斜していく荷台の壁も、一般的な軽トラックとは大きく異なっていた。傾斜したフロントパネルに置かれたスペアタイヤも珍しい。四輪駆動車ではないが、様々な用途に応じられるよう、最低地上高は大きめに取られていた。当時のカタログでも「機動トラック」と謳われており、レジャー向けのクルマというイメージも打ち出していた。
そんな《バモスホンダ》だが、あまりに斬新すぎた開発思想ゆえに、2500台ほどで生産を終えてしまった。しかし、現在SUVで流行している防水性シートや、アースカラーの塗色などをすでに採用していたことに驚かされる。レジャー向け軽自動車が好調な今、《バモスホンダ》の先見性に思いを馳せるのも面白い。
country: Japan
year: 1970-73
seats: 4
size: L2,995×W1,295×H1,655㎜
price: approx 1,800,000 yen
special thanks to Takehiro Watanabe
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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