VEHICLE
Chill CARS|ゆとりを感じさせる、斬新なデザインのミニバン型クーペ。
『カーサ ブルータス』2022年4月号より
March 12, 2022 | Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
クルマはおおむね、何らかのコンセプトに沿って誕生する。ミニバンなら人や荷物をたくさん載せられること、スポーツカーなら俊敏にカーブを曲がること、などである。
しかし、2001年に〈ルノー〉が発売した《アヴァンタイム》は、それまで存在した、あまたのコンセプトのどれにも属さないクルマとして、大いに注目を浴びた。
それは、《アヴァンタイム》が “ミニバン型クーペ” という前代未聞のコンセプトで開発されたからである。背が高く塊り感があるフォルムは、ベース車のミニバン《エスパス》をトレースしていたが、色違いのルーフ、円柱を切り出したようなリアウィンドウ、ピラーレス構造のサイドウィンドウなど《アヴァンタイム》は、外観も前代未聞とも言えるほどに個性的だった。
車内では、3列シート分の室内空間に、2列しかシートを設置しておらず、ラゲッジルームの実用性も、あまり考慮されていなかった。当時のミニバンとしては大きめの車体に、贅沢な空間づくりがされていたのである。排気量が大きいクーペながら、走りも、ゆったりとした印象だった。
このように、《アヴァンタイム》のコンセプトは確かに難解だった。しかし根底には、 “ゆとり” という言葉が流れているのを感じる。とかく効率化が叫ばれ、時間に追われている昨今、全体的に余裕を感じさせる《アヴァンタイム》は、登場から20年以上経った今こそ、見直されるべきなのかもしれない。
それは、《アヴァンタイム》が “ミニバン型クーペ” という前代未聞のコンセプトで開発されたからである。背が高く塊り感があるフォルムは、ベース車のミニバン《エスパス》をトレースしていたが、色違いのルーフ、円柱を切り出したようなリアウィンドウ、ピラーレス構造のサイドウィンドウなど《アヴァンタイム》は、外観も前代未聞とも言えるほどに個性的だった。
車内では、3列シート分の室内空間に、2列しかシートを設置しておらず、ラゲッジルームの実用性も、あまり考慮されていなかった。当時のミニバンとしては大きめの車体に、贅沢な空間づくりがされていたのである。排気量が大きいクーペながら、走りも、ゆったりとした印象だった。
このように、《アヴァンタイム》のコンセプトは確かに難解だった。しかし根底には、 “ゆとり” という言葉が流れているのを感じる。とかく効率化が叫ばれ、時間に追われている昨今、全体的に余裕を感じさせる《アヴァンタイム》は、登場から20年以上経った今こそ、見直されるべきなのかもしれない。
country: France
year: 2001-03
seats: 5
size: L4,660×W1,835×H1,630mm
price: approx 700,000 yen
special thanks to Mr. & Mrs. Nakayama
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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