VEHICLE
Chill CARS|社会の要請から生まれた、時代の申し子のようなクルマ。
『カーサ ブルータス』2020年5月号より
| Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijiro Ohara
このクルマには、《日産フォルクスワーゲン・サンタナ》と二つの社名が入っている。理由は、〈フォルクスワーゲン〉が開発した《サンタナ》を〈日産〉が日本でノックダウン生産(現地組み立て)したモデルだからだ。
ノックダウン生産は、第一次石油危機直後に問題視された日本と欧米の貿易不均衡の解決策の一環。〈日産〉が、EC加盟国のドイツメーカーである〈フォルクスワーゲン〉からパーツを輸入し、ライセンス料を払い、組み立てた製品が《サンタナ》なのだ。
《サンタナ》は当時の〈フォルクスワーゲン〉の車種構成においてもっとも上級車種である《パサート》のノッチバック(独立したトランクを持つ車型)だ。ほかの選択肢としては、ステーションワゴンやファストバックがあったが、日本で売れるとしたらノッチバックセダン、ということで《サンタナ》が選ばれたという。
このクルマは、一言で表現すると、重厚。全体の見た目だけでなく、厚いクッションのシートや、作りのいいディテールなど、当時の日本車とは一線を画していた。
〈日産〉は、80年代後半からスタイリッシュなクルマを次々と発表するものの、80年代初頭のラインナップには、野暮ったいモデルが多かった。ドイツのデザインが新風を吹き込んでくれることも、貿易不均衡の解決とともに、期待されたはず。
時代の申し子でもあった《サンタナ》は今の目に新鮮に映る。
《サンタナ》は当時の〈フォルクスワーゲン〉の車種構成においてもっとも上級車種である《パサート》のノッチバック(独立したトランクを持つ車型)だ。ほかの選択肢としては、ステーションワゴンやファストバックがあったが、日本で売れるとしたらノッチバックセダン、ということで《サンタナ》が選ばれたという。
このクルマは、一言で表現すると、重厚。全体の見た目だけでなく、厚いクッションのシートや、作りのいいディテールなど、当時の日本車とは一線を画していた。
〈日産〉は、80年代後半からスタイリッシュなクルマを次々と発表するものの、80年代初頭のラインナップには、野暮ったいモデルが多かった。ドイツのデザインが新風を吹き込んでくれることも、貿易不均衡の解決とともに、期待されたはず。
時代の申し子でもあった《サンタナ》は今の目に新鮮に映る。
country: Japan
year: 1984-88
seats: 5
size: L4,545×W1,690×H1,395mm
price: approx 1,000,000 yen
special thanks to Izuru Endo
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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