VEHICLE
Chill CARS|最上のリビングとして開発された、フランスの高級セダン。
『カーサ ブルータス』2019年5月号より
| Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Fumio Ogawa illustration_Daijiro Ohara
クルマは工業製品だが、国籍のようなものが存在する。いい例がフランス車だ。大型車にしても、彼の国のプロダクトは独特である。ここで紹介する《ルノー25》は、1983年に発売された、同ブランドの最高級車。しかし、他国の高級セダンに慣れた目には、異質に映る。
ドイツやイギリス、あるいはアメリカのクルマは、デザインランゲージが似ている。後輪駆動方式、大排気量の多気筒エンジン、大型グリルなどと、重厚感やパワフル感を強調するのだ。
それに対して、フランスは高級セダンでもひとひねりする伝統を持つ。大統領公用車にもなった《シトロエンDS》(1955年)は宇宙船とも呼ばれた個性派だった。高級セダンは四角いという常識を覆したのだ。〈ルノー〉も同様。戦後初の大型セダン《ルノー30》(1975年)は独立したトランクを持たないハッチバックだ。
《ルノー25》も大統領が使う前提で設計されたはずなのに、実用車のようなハッチゲートを備えている。内装も従来の高級化とは無縁だ。ウッドもクロームもほとんどない。そのかわり、合成樹脂による造形の自由度を活かし、乗員の快適性や使い勝手を追究している。シートの座り心地は極上だし、乗り心地もやわらかい。ようするに、最上のリビングルームとして開発された印象なのだ。
フランスはエリート官僚の国というが、クルマには階級主義がない。そこがいい。
それに対して、フランスは高級セダンでもひとひねりする伝統を持つ。大統領公用車にもなった《シトロエンDS》(1955年)は宇宙船とも呼ばれた個性派だった。高級セダンは四角いという常識を覆したのだ。〈ルノー〉も同様。戦後初の大型セダン《ルノー30》(1975年)は独立したトランクを持たないハッチバックだ。
《ルノー25》も大統領が使う前提で設計されたはずなのに、実用車のようなハッチゲートを備えている。内装も従来の高級化とは無縁だ。ウッドもクロームもほとんどない。そのかわり、合成樹脂による造形の自由度を活かし、乗員の快適性や使い勝手を追究している。シートの座り心地は極上だし、乗り心地もやわらかい。ようするに、最上のリビングルームとして開発された印象なのだ。
フランスはエリート官僚の国というが、クルマには階級主義がない。そこがいい。
special thanks to CINQ( TEL 03 5946 6767) ※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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